セリエでまたもスキャンダル。13位まで順位を落としたユベントスに何が起きているのか (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by Nicolo Campo/LightRocket via Getty Images

【選手たちも証人に呼ばれ...】

 そして今年1月20日、審理が終了し、裁判所はユベントスに対し15点のペナルティを科す制裁を下した。これはサッカー協会が求めていた9ポイントの減点よりもはるかに厳しいものだった。またアニエッリ、ネドベド、パラティチら幹部たちにも個別に職務停止などの処分が言い渡された。

 イタリアの新聞各紙は、このスキャンダルに名前を連ねた22人の選手たちにも、今後の捜査次第では1カ月の出場停止処分が下される可能性があると報じている。そのなかにはクリスティアーノ・ロナウドも含まれている。

 一方、ユベントスはいかなる不正行為も強く否定している。特に、他のクラブとその幹部が無罪となったのに、ユベントスだけ厳罰に処せられたことには納得できないでいる。今後はイタリアのオリンピック委員会(CONI)の保証委員会に上訴する方針だ。

 幹部らが法廷闘争に備える一方で、現場ではこのシーズンを立て直そうと必死になっている。どうにかチャンピオンズリーグ出場権を、少なくともヨーロッパリーグ出場権を獲得できなければ、クラブは大きな経済的打撃を受け、優秀な選手たちの流出に拍車がかかる可能性がある。

 だが、立て直しは簡単なことではないだろう。捜査が続き、選手は証人として呼ばれ、序盤の躓きからやっと脱出したと思ったらトップが総辞職。挙句の15ポイント減点では落ち着いてプレーしろというほうが難しい。1月の首位ナポリとの直接対決では5-1という大敗を喫し、つい先日は格下のモンツァにホームで敗れている。

 マッシミリアーノ・アッレグリ監督はあえて強い言葉で選手たちの結束を求めた。

「やる気がない奴は外れてくれ」

 敗れたモンツァ戦の後、彼は言った。

「昨日までは38ポイントあり、スクデットも夢じゃないと思っていた。それが今では23ポイント。降格しないために戦わなくてはいけない。だがそれを直視できなければ、もっとひどい事態になる」

 檄のかいもあってか、2月2日に行なわれたコッパ・イタリアの準々決勝では現在リーグ4位のラツィオを下し、準決勝に駒を進めた。現状ではリーグ優勝は狙えない今、コッパ・イタリアとヨーロッパリーグ(チャンピオンズリーグはすでに敗退)はチームにとって非常に重要な戦いである。

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