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伊東純也のドリブルはPSGの名SBでも止められない。リーグ・アン特有の激しい「デュエルの餌食」にならない理由 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【MNMトリオは何もできず...】

 PSG戦でも、スタッド・ランスはアグレッシブな攻撃を見せた。

 開始直後から相手のビルドアップを自由にさせず、守護神ジャンルイジ・ドンナルンマにプレッシャーをかけて次々とチャンスを構築。試合の主導権を握ると、チャンスの数もシュート数も相手を圧倒した。

 逆に、W杯後に初めてリオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペのMNMトリオが先発したPSGは、チーム戦術が定まっていないこともあり、ほとんど何もできない45分間を過ごすこととなった。

 そのなかで伊東は、15分に右SBトマ・フォケとのコンビネーションプレーからボックス内で惜しいシュートを放ったほか、23分には相手ボックス内に進入してゴールに迫り、25分には自らボールを奪ったあとに素早く縦にスルーパス。マーシャル・ムネツィのシュートシーンを演出するなどPSG相手に物怖じすることなく、いつもどおり攻撃の軸として躍動した。

 しかも後半には、得意のドリブルでPSGの左SBフアン・ベルナトを抜き去ると、焦ったPSGは途中出場したマルコ・ヴェラッティが危険なスライディングで伊東を止めてしまい、これが一発レッド。負傷が心配された伊東はその後も平然とプレーして、変わらず存在感を示し続けた。

 今シーズンから初めてリーグ・アンに活躍の場を移した伊東は、開幕前の負傷で出遅れるも、ここまでリーグ戦18試合に出場し、そのうち17試合に先発。出場時間は、主将としてここまで全試合フル出場を続けるCBユニス・アブデルハミドの1800分に次ぐ1352分を記録し、チーム2番目のプレータイムを誇るなど、チームに不可欠な戦力としてプレーする。

 伊東がリーグ・アンにすぐに順応できた背景には、持ち前のスピードはもちろんのこと、正確にボールを扱える高い技術と、ボールを受けたあとに何をするかを素早く判断できていることにある。そのどちらかが欠けていればリーグ・アン特有の激しいデュエルの餌食となるが、個人戦術にも優れる伊東にその心配は不要だった。

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