シャルケ・上月壮一郎、昇格2試合目で初ゴールの衝撃。無名の22歳が5部リーグから這い上がり日本代表候補に急上昇 (2ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

【上月に観客から温かい拍手】

 すると昇格早々、上月がトップ関係者に衝撃を与える。練習試合とはいえ、ラピッド・ウィーンにはじまり、ハイデュク・スプリト、オスナブリュック、FCチューリヒと、国内外のクラブ相手に4試合連続ゴールという離れ業をやってのけたのだ。

 上月がブンデスリーガ再開初戦のフランクフルト戦で先発起用されたのは、決して"抜擢"などではなく、もはや"当然"のことだった。

 ブンデスリーガ1部初出場を果たした上月は、ゴールへの積極性を見せた。ポストを直撃した32分のシュートや、惜しくもGKの正面に飛んでしまった47分のヘディングなど、光る場面も少なくなかった。

 試合終了後、シャルケのサポーターはSNS上で、「このチーム状況ではゴールを決めてもらわないと。でも、コウヅキはここまで我々にとってラッキーな発見だ」「向こう数年間、1部だろうと2部だろうと、コウヅキは我々に楽しみを与えてくれるだろう」「コウヅキはここまで本当によくやっている。シャルケの1部残留のために貢献してくれることを願う」「コウヅキがすばらしい仕事をした試合だった」などと、好意的な評価だった。

 そしてそのわずか3日後のライプツィヒ戦。2試合連続で先発に名を連ねた上月は、0-4で迎えた56分、ついに見せ場を作る。市場価値が急上昇中のクロアチア代表DFヨシュコ・グヴァルディオルと、元ドイツ代表DFマルツェル・ハルステンベルクの間をワンタッチで巧みにすり抜けると、GKのポジションを冷静に見極め、記念すべきブンデスリーガ初得点を挙げたのだ。

 80分に交代でベンチへ下がった際、大量失点で敗戦濃厚ななか、上月にはホームの観衆から温かい拍手が送られた。そのことが、上月がファンから認められたなによりの証左だろう。

 シャルケのトーマス・ライス監督も、新鋭の活躍に納得の表情を浮かべた。

「我々にとって少なくとも喜ばしいことは、再びゴールを奪えたこと。彼(上月)は目下、楽しみを与えてくれる選手だし、アジリティーにとても優れている。この試合、彼が数少ない明るい話題のひとつだったことは、誰もが認めるところだと思う」

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