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アルゼンチンが3度目の頂点へ大きく前進。難敵クロアチアに3-0と完勝できた要因 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 その後は2連勝で決勝トーナメントに駒を進めはしたものの、その1回戦ではオーストラリアを相手に2点を先行しながら1点差に迫られる2-1の辛勝。準々決勝のオランダ戦でも、同じく2点をリードしながら追いつかれ、PK戦の末、薄氷の勝利を手にしている。

 どこか調子に乗りきれない。今大会のアルゼンチンにはそんな印象があった。

 にもかかわらず、大会も大詰めを迎えようかという準決勝でこの強さである。

 クロアチア戦で1ゴールを加え、今大会通算5ゴールとして得点ランクのトップに並んだメッシがにこやかに語る。

「36試合目でサウジアラビアに負けてしまったが、我々は強いと証明できている。すべての試合を決勝戦のつもりで戦ってきた。今はチームとしてまとまっているし、勝てる自信がある。この大会でもっと強くなれると思っている」

 スカローニ監督の采配も鮮やかだった。的確な選手起用と戦略でクロアチアを封じ込め、28年ぶりに優勝した昨年のコパ・アメリカに続く、ビッグタイトルでの決勝進出を成し遂げた。

 戦後、アルゼンチン代表をワールドカップ決勝に導いた指揮官は、ルイス・メノッティ(1978年大会)、カルロス・ビラルド(1986、1990年大会)、アレハンドロ・サベーラ(2014年大会)に続き、4人目。

 スカローニ監督は「歴史に名を残す3人に続いて決勝を戦えるのは、監督である私の特権だ」と笑顔で語りながらも、視線はすでに12月18日(日本時間12月19日)の決戦へと向けられている。

「決勝進出できたことを祝い、喜んでいるが、まだ1ステップ残っている。今は次にやってくる試合にフォーカスしている」

 しかもアルゼンチンは、今大会での出場機会がなかったDFフアン・フォイス、MFアンヘル・コレア、FWパウロ・ディバラが、この試合にそろって途中出場。これでフィールドプレイヤー23人すべてがピッチに立ったことになる。スカローニ監督が語る。

「ケガの選手も回復して、今は23人のフィールドプレイヤーがいる。それは重要なことだ。決勝では全員がプレーできる。決勝に向けて全員を見ることができたのはよかった」

 万全の状態で決勝に臨むチームは、調子も右肩上がり。アルゼンチンは3度目の世界一を目指し、最高の雰囲気で決勝に挑む。

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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