アルゼンチンが3度目の頂点へ大きく前進。難敵クロアチアに3-0と完勝できた要因

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 ワールドカップ準決勝。アルゼンチンはクロアチアを3-0で下し、2014年大会以来となる6度目の決勝進出を果たした。

 狡猾で巧みな、アルゼンチンらしい勝利だった。

 相手は決勝トーナメントに入り、粘りの戦いで日本、ブラジルをいずれもPK戦の末に退け、2大会連続で準決勝へ駒を進めてきたクロアチアである。簡単には勝たせてくれないはずだったが、終わってみれば、アルゼンチンの強さばかりが目立つ結果となった。

 試合は序盤からクロアチアがボールを保持し、アルゼンチン陣内に攻め入る展開で進んでいた。

 クロアチアはDFラインからパスをつなぎ、中盤を経由したボールを3トップへと供給。ピッチを横に広く使って、配置された3トップを生かし、アルゼンチンの守備網に穴を作り出そうと試みた。

 だがこの試合、アルゼンチンを率いるリオネル・スカローニ監督は、前の試合からメンバーを入れ替え、MFレアンドロ・パレデスを先発起用。グループリーグ初戦でサウジアラビアに不覚をとって以降、アルゼンチンの中盤を支えてきたMFロドリゴ・デパウル、MFアレクシス・マクアリスター、MFエンソ・フェルナンデスのトリオにパレデスを加えることで、中盤に安定をもたらした。

 結果、アルゼンチンはクロアチアにボールこそ支配され続けても、決してバランスを崩さない。自陣で強固に固める守備ブロックはゴールを許すどころか、枠内にシュートを飛ばされることすらなかった。この中盤の構成変更が、この試合の重要な勝因であったことは間違いない。

 とはいえ、クロアチアが攻め、アルゼンチンが守るというだけの展開が続けば、粘りを信条とするクロアチアのペースに巻き込まれかねない。どこかでカウンターにつなげ、クロアチアを脅かす必要があった。

 そこで力を発揮したのが、スカローニ監督が「特別なストライカー」と評するFWフリアン・アルバレスである。

 32分、アルバレスは相手DFラインの背後を狙って走り出すと、フェルナンデスが送ったロングボールを拾ってGKと1対1に。右足でチョンと押し込んだシュートは力なく転がり、ゴールには届かなかったものの、直後、クロアチアのGKドミニク・リバコビッチがアルバレスにぶつかってきたことでPKを得た。

 これを確実に決めたのは、FWリオネル・メッシ。アルゼンチンは狙いどおりの展開から先制点を奪いとった。

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