フランス、カタールW杯16強一番乗り。前線4人が織りなす「立体感」に目を見張る (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

クラブでのプレーよりいいグリーズマン

 クリスティアン・エリクセンが蹴ったCKを、ニアでヨアキム・アンデルセンが高い打点のヘッドで落とすと、ファーサイドに詰めていたアンドレアス・クリステンセンがプッシュ。1-1というスコアはその時、両チームの優劣を示す適切なスコアに見えた。

 試合はそこから俄然、盛り上がった。後半33分、フランスがアントワーヌ・グリーズマンのCKにオーレリアン・チュアメニが飛び込み、あわやというシーンを作れば、デンマークは後半36分、カスパー・ドルベリのCKにマルティン・ブライスワイトが合わせたボールはポストをわずかにかすめていた。

 決勝ゴールが生まれたのは後半41分。グリーズマンが右から上げたクロスボールを逆サイドで詰めたエムバペが太ももで押し込むという泥臭いゴールだった。

 選手のデキについて採点をしようとした時、先制点と決勝ゴールを叩き込んだこのエムバペが最上位(マン・オブ・ザ・マッチ)にくるのは当然として、2番手は誰なのかという視点に立つと、浮上するのは2点目のアシストを記録したグリーズマンになる。4-2-3-1の1トップ下というポジションがなによりハマっていた。

 1トップにオリヴィエ・ジルー、左ウイングにエムバペ、そして右ウイングにウスマン・デンベレの3人を、その中心的なポジションから操るゲームメーカー。それをプレッシャーの弱い低い位置でなく、高い位置で行なうことができる高度な技術が光った。かつてのバルサ、そして現在所属するアトレティコで見るプレーより、格段によかった。チームにハマり機能していた。アシストは1に終わったが、それに近い決定的なプレーは4、5本に及んだ。

 フランスの前線でプレーする4人の選手には立体感があった。それぞれの距離が遠く離れていてもチャンスが生まれそうなダイナミックさがあった。

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