フランス、カタールW杯16強一番乗り。前線4人が織りなす「立体感」に目を見張る

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

最大のライバルはブラジルか

 エムバペとデンベレの両ウイングがワイドの高い位置に、まさに張るように構えている点に目が奪われた。両ウイングがここまで開いているチームも珍しい。左のエムバペがスピードに乗る加速に怖さを発揮するのに対し、デンベレは止まった状態からフェイントを駆使しながらのダッシュ力が光った。

 終盤デンベレと交代で入ったキングスレイ・コマンも典型的なウインガーだ。ウイングサッカーはオランダの専売特許だったが、今回のオランダはひどく守備的でウイングを置く余力がない。そこにこだわるようなサッカーをするフランスは、その分だけ目立つ。所属のパリ・サンジェルマンでは、ポジションレスのような動きをするエムバペが、このフランス代表では典型的な左ウイングとしてライン際を疾走する姿に、ディディエ・デシャン監督のこだわりが透けて見えるのだ。

 故障で離脱したカリム・ベンゼマの代役として1トップを務めるジルーは、このなかに入ると少々力不足だが、1トップ下、グリーズマンとのコンビで言うと、ベンゼマより良好と見る。多芸なベンゼマに対し、ジルーはやれることが限られているタイプだ。プレーが濃いグリーズマンには、同じくプレーが濃い目のベンゼマより、あっさり系のジルーのほうがコンビとしていい関係が築けるのではないか。

 オーレリアン・チュアメニ、アドリアン・ラビオの守備的MFコンビ、さらには左右の両SBジュール・クンデ(右)、エルナンデス(左)も高次元で安定している。

 先述のオランダをはじめ、ベルギー、イングランド、ドイツ、ポルトガルなどよりフランスは上だ。スペインとの力関係は定かではないが、最大のライバルはブラジルではないかと筆者は考える。カギを握るのはエムバペというより、グリーズマンでありデンベレであるような気がしてならない。

 また、敗れたデンマークもこれで1分1敗となったが、決勝トーナメントを戦う力はある。次戦はオーストラリア。好チームに再びチャンスは巡ってくると見る。

【著者プロフィール】杉山茂樹(すぎやま・しげき) スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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