伊東純也はスピード、南野拓実は連係から1対1。ふたりの日本代表アタッカーは異なる武器でファンを魅了する (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

フランス代表DFも南野を絶賛

 スピードという明確な武器を持つ伊東と違い、南野は周囲の選手と連係しながら自分の強みを相手ペナルティエリア内で発揮するタイプのアタッカーだ。従って、リーグ・アンのデュエルに慣れ、同時に周囲との関係性を高めるまでにはそれなりの時間を要することは、ある意味で想定内とも言えるだろう。そんななかで迎えたのが、今回の試合だった。

 後半開始早々の47分にアレクサンドル・ゴロビンのヘディングシュートで先制したモナコのフィリップ・クレマン監督は、65分に南野とジェルソン・マルティンスをピッチに送り出した。この試合のモナコは第4節パリ・サンジェルマン戦から採用してきた3バックシステムではなく、7試合ぶりに4−4−2に布陣を変更。南野はマゲネス・アクリウシュに代わって右MFでプレーした。

 すると試合終了間際の87分、同点に追いつくために前がかりになったスタッド・ランスの守備に大きな穴が生まれ、ブレール・エンボロからのパスをフリーで受けた南野がGKと1対1のシーンを迎えると、その決定機で冷静にフィニッシュ。待望の移籍後初ゴールが生まれた。

 さらにその3分後には、南野のパスを受けたウィサム・ベン・イェデルが加点。これまで不振が続いていたチームの大エースの今シーズン初ゴールを南野がアシストしたことは、今後を考えると、自身のゴールよりも大きな価値を持つかもしれない。

「タキ(南野)のゴールには、みんな喜んでいるよ。これで解き放たれると思うし、次の試合ではベストな状態の彼を見られると思う。彼はチームとリーグに慣れる必要があったけど、今日の試合で彼がチームを助けるために必要なすべてのクオリティを持っていることを証明してくれた。賢くて、テクニックもあって、ボールも持てる。彼は僕たちにとって、とても重要な選手になるはずだ」

 試合後、フランス代表に初招集されたばかりのバディアシルはこの試合で活躍した南野についてそうコメントしたが、この試合をきっかけに、南野のチームメイトからの信頼が高まったことは間違いないだろう。

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