伊東純也はスピード、南野拓実は連係から1対1。ふたりの日本代表アタッカーは異なる武器でファンを魅了する (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

南野がモナコで苦戦した理由

 ここまでリーグ戦8試合を終えた段階で、伊東の出場時間は499分。開幕直前に軽い負傷で出遅れながら、あっという間にチーム内での地位を築くことに成功している。

 若手中心で構成されるスタッド・ランスにおいて、伊東は精神的支柱でもある34歳の闘将ユニス・アブデルハミドに次ぐ2番目の年長者となる29歳。モナコ戦前の会見で本人が口にしていたように、チームを引っ張っていく役割も担っている。

 プレー面でも、ここまで5得点を量産するフォラリン・バログンと絶妙な関係性を確立している。伊東がボールを受けたらバログンがDFの背後を狙って動き出し、それを見逃さずにパスを供給することで多くの好機を演出してきた。

 相手と接近した状態でボールを受ける場合は、1タッチか2タッチで味方にボールを預けてから受け直しの動きをする。それによって、なるべく前を向いた状態でプレーしようとする狙いがうかがえる。

 リーグ・アン独特の対人バトルに慣れるまでは、そのプレースタイルが奏功している印象だ。最大の武器であるスピードを生かす局面との使い分けもよく整理されている。残念ながら、計5試合で退場者を出していることも影響してチームは成績不振に陥っているが、伊東個人としては新天地で最高の滑り出しを見せていると言っていい。

 一方、ここまで苦戦しているのがモナコの南野だ。この試合ではヨーロッパリーグ(EL)第2節のフェレンツヴァロシュ(ハンガリー)戦を含め、3戦連続のベンチスタート。直近2試合は出場機会もなく、開幕当初と比べても明らかにパフォーマンスが下降気味だった。

 今シーズンのモナコは、チャンピオンズリーグ(CL)の予選から戦いをスタートしたため、これまで公式戦計12試合を消化している。その過密日程を考慮し、フロントは前線の選手層に厚みを持たせるため、ユーティリティ性の高い南野を獲得。リバプールには、1500万ユーロ(約21億円)の移籍金を支払った。

 しかし、当初はレギュラー組の一員としてCL予選のPSV戦で先発出場していた南野だったが、なかなかフィットできずに大苦戦。その後も低調なパフォーマンスが続くと、周囲からの期待が大きかった分、メディアから厳しい批判に晒された。そんなプレッシャーのかかる状況のなか、南野のプレーにも焦りが見え始め、とくにデュエルでボールを失うシーンが目立つようになった。

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