鎌田大地は「ビッグクラブの中心選手を目指してほしい」。風間八宏がその技術の高さとここまでの成長を評価
第13回:鎌田大地(フランクフルト/日本)
独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、国内外のトップクラスの選手のテクニック、戦術を深く解説。今回は、ドイツのフランクフルトで活躍する鎌田大地をピックアップ。現在の充実したプレーぶりには、どんな技術的な背景があるのか。深掘りしてもらった。
◆ ◆ ◆
無駄なボールタッチが減っている
2017年6月にサガン鳥栖からフランクフルト(ドイツ)に移籍した日本代表の鎌田大地は、これまでの5年間で着々とレベルアップを果たしてきた。
フランクフルトで成長したプレーを見せている鎌田大地この記事に関連する写真を見る 加入初年度こそ出場機会は少なかったが、2年目にシント=トロイデン(ベルギー)にレンタル移籍したことをきっかけに、そのポテンシャルが開花。すると、武者修行を終えてフランクフルトに戻ってからは、主力として活躍するまで成長を遂げた。
とりわけヨーロッパリーグ(EL)優勝に貢献した昨シーズンの活躍ぶりは目を見張るものがあり、20代半ばにして急激な成長を遂げている印象さえ受ける。
そんな鎌田の成長ぶりを、風間八宏氏はどのように見ているのか。
「一番の変化は、無駄なボールタッチが減ったことですね。以前と比べると、ボールを正確に扱えるようになっていて、それがプレー全体の落ち着きを与えている。
彼のプレーぶりはふてぶてしく見えるかもしれませんが、実はそれこそが自分の技術に自信のある証拠だと思います。技術さえしっかりしていれば慌てることはないし、相手も関係ない。もちろん相手を感じてはいるはずですが、相手のプレッシャーによって自分のプレーができなくなるようなことはありません。
ボールが自分の体から離れることがほとんどなくなっていて、ボールと自分と相手の関係がしっかり整理されている。すごくシンプルにプレーしているように見えると思いますが、あの間合いを維持し続けるのはすごく難易度が高い。ある意味で以前紹介したルカ・モドリッチに通じるものがある。そこが、最も成長したところですね」
確かに、最近の鎌田のプレーには余裕が感じられ、ボールロストやパスミスも減った印象だ。だから、狭いスペースでも平気でボールを受けられて、無駄な時間をかけずにテンポよく次のプレーに移行できる。逆に、そうでなければ、ELの舞台であれだけのパフォーマンスを発揮することはできなかっただろう。
1 / 3