カタールW杯対策に苦慮する各国。ブラジル代表はレアルに練習場使用を断られる (3ページ目)
ズームによるミーティングも
代表チームはもっと長い中断期間を望んでいたが、クラブチーム側はその期間は収入が大きく減るわけだから(少しでも稼ぐため、W杯に出場しないメンバーで遠征を組むチームもある)、W杯などさっさと終わらせて帰ってきてほしいのが本音だろう。32チーム制になってからの歴代大会のなかで、期間が29日と、最も短くなるのもそのためだ。
特に南米の代表監督たちは、不安とストレスでいっぱいだ。確かに南米各国はW杯前にシーズンが終わっているところが多いのだが、各国の代表選手はほとんどがヨーロッパのリーグでプレーしているのだ。
6月に日本と対戦したブラジルは9月にメキシコ、アルゼンチンと戦う photo by Kishimoto Tsutomuこの記事に関連する写真を見る たとえばこれがイングランド代表なら、プレミアリーグが中断された時点で、望めばその翌日には全員の選手がそろうだろう。ガレス・サウスゲート監督はすぐに代表のトレーニングセンター、セント・ジョージズ・パークに選手を集め、W杯に向けて準備を始めることができる。
ところがブラジルの場合はそうはいかない。ブラジル代表は世界中に散らばっている。リーグの終了時期はそれぞれ違うし、集まるまでにも時間がかかる。そのため苦肉の策として、チッチ監督は彼らをブラジルには集めず、ヨーロッパで集合させて合宿に入りカタールに向かう予定だ。
ブラジル代表は大会前、練習場としてレアル・マドリードの施設を使わせてもらおうとしたが断られ、現在はユベントスと交渉中だ。同じくアルゼンチンやウルグアイも、選手を国には戻さず、ヨーロッパ集合を考えている。慣れた自国のトレーニングセンターで練習できる国とは、すでにこの時点で差ができてしまっている。
そもそも、ふだんから南米のチームは簡単に集まることができない。6月にアジアツアーを行なったブラジルは、9月にメキシコ、アルゼンチンとの試合を組んでいるが、これらの試合もあまりやりたくないというのが本音だろう。移動も含めるとスケジュールがタイトすぎて、選手に大きな負担となってしまうからだ。気軽に集まり練習、試合ができるヨーロッパのチームとはここも違う。
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