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セルティックの半年間で旗手怜央が感じた日本との違い。「ありとあらゆる部分が速い」「足首の周りに傷が増えた」 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

球際では足ごとさらわれる

 デュエル、いわゆる"球際の強さ"の部分にもやはり違いはあった。それをどのような言葉で表現すればいいかと、ずっと考えていたが、しばらくしてその違いに気づいた。

 スコットランドに来て足首の周りに傷が増えたからだ。

 Jリーグではボールに向かってタックルや足を入れてくる。でも、スコットランドではボールだけでなく、足ごとタックルし、足ごとさらおうとしてくる。そのため、ボールも含めて足もけずられ、奪われる。加入当初は、中盤で前を向けば、ボールと一緒に足ごとさらわれてしまうため、球離れをさらに速くする必要があった。

 だから、球際の強さは「ボールではなく、足ごとさらわれる」と言えば、感覚は伝わるだろうか――。

 プレースピードを速め、球際への認識を改める過程では、新たな発見もあった。

 4-3-3システムを採用しているセルティックだが、守備時には4-4-2のようなバランスになる。自分は、攻撃時はインサイドハーフ、守備時は中盤の前にいる選手とDFとをつなぐボランチ的な役割を求められていた。

 攻撃では前に出ていかなければならず、守備ではうしろまで戻ってスペースを埋め、さらには相手FWも警戒しなければならなかったのだ。

 そのため、相手選手がボールを持った状況によって、ポジショニングを細かく変える必要があり、見るべきところも多くなった。それまでは、前線からの守備、もしくは前に出ていく守備ばかりを意識していたが、自分たちと相手の立ち位置、すなわち全体を見る守備を求められたことで、状況判断力が養われ、プレーの冷静さにつながった。

 また、アンジェ・ポステコグルー監督からは「結果にこだわれ」と言われていた。

 横浜F・マリノスで監督をしていた経験があり、日本人である自分たちの性格や特徴を把握してくれていた彼の下で海外でのプレーをスタートできたのは、本当に大きかった。

 そんなアンジェさんからは、守備では前後のつなぎ役として相手を見て、スペースを埋めつつも、攻撃ではゴール前に顔を出すことを求められた。もともとストライカーだった自分は、その言葉により、FWとしてのプレーや姿勢を思い出させてもらった。

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