今季の欧州日本人選手MVPを識者が選出。中村俊輔以来のインパクトを残した選手も (2ページ目)

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ひと皮むけた感の堂安律

遠藤航(シュトゥットガルト)

 シーズンを通してフル稼働し、主将としてチームをけん引。最終節では自らの決勝ゴールでチームの1部残留に貢献するなど、遠藤にとっては実り多きシーズンになった。今季もデュエル勝利数ではリーグ1位を維持したほか、4得点2アシストを記録。残念ながらチーム成績により全体の4番手としたが、中位以上であれば冨安と順位を入れ替えたかもしれない。遠藤も伊東と同じ29歳。来季は、もうワンランク上のクラブでプレーしてほしい。

堂安律(PSV)

 伊藤洋輝(シュツットガルト)、奥川雅也(ビーレフェルト)も候補だったが、5番手にはオランダ3大名門クラブのひとつ、PSVでリーグ2位を確保して、来季のEL出場権獲得に貢献した堂安を選出した。リーグ戦出場24試合で8得点、1アシスト。多くが途中出場だったが、そのなかでゴールを重ねて終盤にはレギュラーを奪取。尻上がりに成長し、ひと皮むけた印象がある。今夏の移籍市場でステップアップできるか。その動向は要注目だ。

南野拓実のような環境でプレーしている日本人はいない
小宮良之

 これだけ多くの日本人サッカー選手が、欧州で活躍できるようになるとは――。10年、20年前と比べると、隔世の感がある。日本代表は9割がた欧州組で構成される状況であり、時代は大きく変わった。

 今シーズンの欧州の日本人サッカー選手の動向は、内田篤人、長友佑都、本田圭佑がCLベスト16以上で競い合ったシーズンの華やかさはなかったものの、鎌田大地が主力としてチームをEL決勝進出に導き、古橋亨梧、旗手怜央、前田大然はセルティックのリーグ制覇に貢献、伊藤洋輝はブンデスリーガの最優秀新人賞にノミネートされている。「世界の扉を開いた」と言えるほど多士済々だ。

鎌田大地(フランクフルト)

 文句なしに、欧州でプレーする日本人MVPと言えるだろう。シャドーの一角として中心選手になった。得点だけではなく、プレーメイカー、ラストパサーとしても際立ち、守備の面でも要求を満たした。左サイドのセルビア代表フィリップ・コスティッチとの連係は強力な武器だ。ELでは5得点で決勝進出に大車輪。準々決勝のバルサ戦はゴールこそなかったが、鮮やかなパスで勝利を手繰り寄せた。今回まで久しく日本代表に選出されていなかったのは、ひとつのミステリーだ。

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