田中碧「苦しい」ながらも「楽しめた」デュッセルドルフでのシーズン。自由にプレーする感覚をドイツ2部で知った
昨年夏の東京五輪前、ドイツ2部リーグ所属のデュッセルドルフに移籍した田中碧。川崎フロンターレの主役のひとりで、東京五輪メンバーでもあり、でもまだ成長過程にもあった彼は、もがきながら1シーズンを終えた。
五輪の日程もあってシーズン途中での合流だったことから、残した数字は全34試合のうち29試合に出場、うち先発19試合(うちフル出場8試合)、途中出場10試合、1得点。移籍初年度に健闘したとも、2部なのに物足りないとも言える数字だ。
今年5月に入ってから完全移籍に移行し、2025年6月30日までの契約延長を発表。一定の評価を得たと言ってよさそうだ。そんな2021−22シーズンを、田中自身はどう捉えているのか。
移籍後初ゴールを決めた時の田中碧この記事に関連する写真を見る まず、完全移籍への移行と契約延長について。
「ここでというか、欧州でプレーするチャンスを与えてもらったのはいいことだと思います」
シーズンを振り返ると、加入直後は先発が続いたものの、昨年10月のインターナショナルマッチデー明けにベンチスタートとなる。チームの不振も相まって、先発や出場なし、途中出場が交互に続いた。
出場が安定しだしたのは、ダニエル・ティウネ監督が就任した2月以降のこと。だが、監督交代と自身のパフォーマンスそのものの因果関係はないと言う。
「(監督交代とプレーが落ち着いてきたことの関係について)よくそう言われるんですけど、そんなことは別になくて、もちろん苦しんではいるんですけど、なんだろ......別に監督が変わったからとかは別になくて。自分のなかでは監督が変わる前もあとも、手応えのあるゲームは何個かあるし。
もちろん(デュッセルドルフに)来た当初よりは、このリーグでのプレーの仕方に慣れたかなと思うし、自分のできることをここから増やしていくことが必要かなと思います。まあ、すごく苦しいんですけど、この1年楽しめたかなと思えるような成長ができたんじゃないかなと、自分では思っています」
さらっとではあるが、「苦しんで」「苦しい」と2度も苦しみを口にしたのは、さすがに印象的だ。
ティウネ監督就任以降はチームの成績も安定し、一時は3部降格も危ぶまれたものの、無事に2部への残留を決めた。だが、田中のプレーが落ち着いてきたのは、ティウネ監督によるものではなく、単にデュッセルドルフのスタイルに慣れてきたから、ということのようだ。
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