田中碧「苦しい」ながらも「楽しめた」デュッセルドルフでのシーズン。自由にプレーする感覚をドイツ2部で知った (2ページ目)
田中碧のなかで変わったこと
デュッセルドルフに加入して、自身のプレーにはどのような変化があったのだろうか。2部の10位でフィニッシュしたチームだ。攻撃に特色があるというよりも、やはり守備が大事になってくる。
「チームとしてすごく守備に重きを置いているので、自分のプレーの比重もすごく守備に置かなきゃいけないなと思うし、それはやっぱり日本にいる時とは違うことであって。自分のリアクションだったり、プレーしている時の神経の使い方は、より守備に置いている感じがあります」
田中は中盤でプレーしているが、一時期は運動量の多さゆえ、攻守両面で穴を開けているように見える時期があった。攻撃に関しても、パスをもらえれば仕事ができるという仕草を見せるが、ポジショニング、走り込む場所が違うのか、なかなかパスは来ない。パスが来ないから、結果も出せない。
ただ中盤を献身的に走っているように見える時期もあった。だが、それも時間とともに解消されたようだ。
「このリーグでやる時、自分がどうやって90分間、ゲームに関わるのかはすごく考えていて。僕は前の選手じゃないので、ボールを持って何かをするわけじゃなくて、ということがすごく今はクリアになっているというか。自分のやることがはっきりしています。
攻撃参加の回数は少なくても、いく時といかない時をはっきり分けている。だからこそチャンスに入っていく回数はすごく増えているし、もちろん決めきれない時もありますけど、それは自分のなかで変わったことかなと」
守備に重点を置きながらも効果的に攻撃参加----その感覚を掴めてきたということなのだろう。
そのうえで、こうも言う。
「Jリーグと違って、ブンデス2部は縦に速い。日本にいる時よりも(守備重視なので)ボールに関わる回数は減ったので、より自由にプレーしている感覚があるんですよね。
もちろんチームとして細かいポジショニングなどは決まっていますけど、ボールをすごくつないでサッカーをするチームが少ないなか、そんなに立ち位置(ポジショニング)を意識しすぎず、自分の感情のままって言ったらへんですけど、それを大事にしながら動いてはいます。
徹底的につなぐサッカーをどのチームもしてくるわけじゃないので、そこに備えるじゃないですけど、あえてボールに関わらない時間を増やしながらいかにチャンスに関わるか、というのはすごく意識していますね」
サッカーがシンプルになれば、逆に自由度が増すということなのだろうか。
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