リバプールがプレミアリーグ逆転優勝へ望みをつないだ南野拓実のゴール。ボールを受ける3人目の動きが秀逸 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

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中央のジョタにクロスを入れ、落としを南野が3人目の動きで受ける

 最初のポイントは、ジョー・ゴメスがパスを受けたポジショニングである。

 サウサンプトンは守備時に5-4-1システムのゾーンで守り、リバプールにスペースを与えないよう守備的な布陣を整えてきた。ただ、中盤の4枚は中央を固めるように絞り、サイドのエリアが大きく空くようになっていた。

ジョー・ゴメスは中央のジョタにクロス。その落としを走り込んだ南野受けてシュートを決めたジョー・ゴメスは中央のジョタにクロス。その落としを走り込んだ南野受けてシュートを決めたこの記事に関連する写真を見る 攻撃時に両サイドバックを高く押し上げるリバプールは、右サイドバックのジョー・ゴメスが相手中盤ラインの脇という高い位置でボールを受けられた。これにより、相手MFとDFの間にクロスを入れやすくなった。

 次の瞬間、ジョー・ゴメスは中央のジョタに素早いクロスを入れる。そのボールをコントロールしたジョタに、ジャック・スティーヴンスとモハメド・サリスが引きつけられた。ここが次のポイントだ。

 とくにサリスがボールに食いついたために、守備ラインに南野が走り込むスペースが生まれた。もしサリスがそのままスペースにとどまっていても、ボールがジョタに入ったところで南野はサリスの背中側を取ることができ、裏へ抜け出せていただろう。

 ジョタがスペースにボールを落とし、拾った南野は素早い2タッチでGKのタイミングを外しながらニア上に鋭いシュートを突き刺した。

 ジョー・ゴメスのポジショニング、ジョタのポストプレー、南野の3人目の動きと質の高いフィニッシュワークによって、サウサンプトンの守備を見事に崩しきった得点だった。

 南野の貴重な同点弾を皮切りに逆転に成功したリバプール。逆転優勝の可能性をわずかに残し、最終節にどんな結末を迎えるのか注目である。

◆【動画】プレイアリーグ第37節 サウサンプトンvsリバプール ハイライト
(南野のゴールシーンは3分49秒~4分42秒)

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