久保建英の来季はどうなる? レアル復帰、売却、レンタル続行の可能性......"尻すぼみ"に終わったシーズンをどう評価するか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 2021-22シーズン、久保建英(マジョルカ、20歳)のプレーに対する"査定"は、解釈の仕方によって変わるかもしれない。

 久保はシーズン前半、ひざの半月板のケガで10試合近く欠場を余儀なくされながら、リーガ・エスパニョーラで38試合中、28試合に出場した。先発は17試合だった。ポジションを争うはずだった元バルサのジョルディ・ムブラはポルトガル1部のエストリル・プライアへの移籍を余儀なくされた。また韓国代表イ・ガンインは30試合出場も、先発は15試合で出場時間も久保より少なかった。

 主力、エースには届かないが、レギュラー、もしくは準レギュラーと言って差し支えはないだろう。前年王者アトレティコ・マドリードとの2試合で、チームを勝利に導いた活躍はシーズンのハイライトと言える。とりわけ敵地での逆転弾は名人芸だった。裏にパスを呼び込んで名手ヤン・オブラクと1対1になると、ファーに打つモーションを仕掛け、右足を出させて、左足で空いた股を抜いた。

「マジョルカ、1部残留」というシーズン開幕当初の目標も果たしている。

 しかし肝心の最終節、0-2と敵地で勝利したオサスナ戦の久保は、試合終了までベンチを温めたままだった。奇跡的な残留劇になったが、ラスト3試合(2勝1分け)での出場時間は、45分に満たない。「尻すぼみだった」と言わざるを得ないだろう。

 シーズンを総括することは、来季の行方を占うことになりそうだ。

マジョルカの残留決定をベンチで見ることになった久保建英マジョルカの残留決定をベンチで見ることになった久保建英この記事に関連する写真を見る ルイス・ガルシア前監督は、久保の理解者だった。攻撃的シフトを組み、そのなかで意外性や創造性に優れた日本人アタッカーを生かそうとしていた。だが、久保の長期離脱で計算が狂ったか、徐々に順位を下げていった。そして第29節エスパニョール戦に負けた後、L・ガルシアは解任されている。

 代わって新たに就任したハビエル・アギーレ監督は、勝利に対して合理的なアプローチをするメキシコ人指揮官である。元日本代表監督でもある彼が重んじたのは、士気の高さであり、それに準じた球際での戦闘力で、単純な身体的なパワーやスピードだった。5バックへの変更で防御を分厚くし、「負けないため」の現実路線に舵を切ったのだ。

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