久保建英の来季はどうなる? レアル復帰、売却、レンタル続行の可能性......"尻すぼみ"に終わったシーズンをどう評価するか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

レアル復帰には材料が足りない

 この監督交代によって、久保の序列は確実に下がった。

「タケ(久保)は1週間を通じて先発組でプレーしてきた。しかし、何ひとつ気に入らなかった。"体温が低く"、無気力な感じで。いるべき場所がなかった」

 アギーレ監督は、第31節のアトレティコ戦で、交代出場から勝利に貢献した久保についてこう振り返っていたが、この言葉は、思った以上に先行きを暗示していたと言える。

 もっとも久保は、交代出場したアトレティコ戦での活躍のように、アギーレのもとでも随所に力量は見せていた。そして第35節、残留直接対決のグラナダ戦では、本拠地ソン・モイスで先発の座を与えられることになった。ところが久保は低調なプレーに終始し、チームも2-6と惨敗、降格圏へ転落した。

 これを潮目に、久保の序列は再び低下することになった。

 マジョルカ島における久保の人気は今も高い。攻撃の切り札として、戦局を動かせる。その期待感をスタジアムで出すことができる。右アタッカー、もしくはトップ下で、攻撃に絡んだ時の久保はリーグでも指折りの実力者と言える。今シーズン、どれだけ相手選手のイエローカードを誘発したことか。

 しかし、外国人アタッカーとして1得点は物足りない。単純な数字での比較査定はできないが、マジョルカでスペインデビューした2019-20シーズンには4得点を記録していた。アシストの数も目に見えて、当時のほうが多かった。前回はチームが降格し、今回は残留したわけだが......。

 スペイン3シーズン目の総括として、ギリギリ合格点を与えられたとしても、「道が開けたか」と言われると、厳しいものがある。パスを所有するレアル・マドリードに大手を振って戻るには材料が足りない。レアル・マドリードでは、レンタル先のミランでスクデットに貢献したブラヒム・ディアスは呼び戻す案(契約は2023年6月末まで)もある。キリアン・エムバペの獲得失敗は、久保のレアル復帰をやや後押しするかもしれないが......。

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