鎌田大地の鳥栖時代から変わらぬ才能とは? EL準決勝第1戦で決勝弾

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 鎌田大地(フランクフルト、25歳)が直近の日本代表に選出すらされていないのは、もはやひとつのミステリーと言えるだろう。

 ヨーロッパリーグ準決勝のウェストハム戦第1戦。敵地で先発フル出場した鎌田は1-2と、フランクフルトを勝利に導く貴重なゴールを叩き込んでいる。同大会でチームの攻撃を担って5得点目。現在、欧州カップ戦でチームの中心選手として勝ち上がっている日本人選手は彼のみであり、傑出した結果を出していると言えよう。

 今の日本代表が鎌田を取り込めないのなら、それは鎌田の適応力ではなく、森保一監督の問題となるだろう。あらためて、鎌田の才能とは――。

ヨーロッパリーグ準決勝ウェストハム戦で決勝ゴールをあげた鎌田大地(フランクフルト)ヨーロッパリーグ準決勝ウェストハム戦で決勝ゴールをあげた鎌田大地(フランクフルト)この記事に関連する写真を見る「(鎌田)大地は、どこからどのタイミングでボールが出てくるか、わからない。間合いが独特で、でも、受け手がいいポジションを取って、タイミングよく走り出せば、必ずボールは出てくる」

 サガン鳥栖時代、チームメイトたちはそう言って感嘆していた。当時、18歳だったルーキーについて手放しの賛辞だった。それほどに違う風景を作り出すことができた。

 舞台は変わったが、プレーの基本は変わらない。ウェストハム戦でも、鎌田は異彩を放っていた。

 序盤、いきなり"らしい"プレーが先制点につながっている。左サイドを力強いドリブルで持ち上がると、見る者の大半はタッチライン沿いを駆け上がったセルビア代表MFフィリップ・コスティッチへのパスをイメージしたはずだろう。ところが、その思惑を外すようにインサイドでラインの間に入っていたコロンビア代表FWラファエル・サントス・ボレにパスをつける。一瞬だが、相手ディフェンスに当惑が生まれた。フリーのボレは反転しながら、逆サイドに走り込んだドイツU―21代表MFアンスガー・クナウフに合わせ、これでゴールネットを揺らした。

 その後も、鎌田は一瞬、タイミングや角度をずらすことによって相手を幻惑し、空間的に優位に立っている。

「時間を操る」

 そう表現されるトップカテゴリーのプレーだ。

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