イタリア代表を襲うW杯予選敗退の恐怖。指揮官マンチーニは「目指すのは優勝」と鼓舞する

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa akiko

 昨年7月のヨーロッパ選手権(ユーロ2020)をチーム力で優勝したイタリア。その歩みをドキュメンタリー化した映像作品は多くのイタリア人の心を打ったが、今、イタリアは新たなが崖っぷちに立っている。ユーロ優勝までは13連勝していたイタリアだが、その後は9試合で2勝1敗6引き分け、負けはしないが勝つこともできなかった。

 なかでもスイス戦の引き分けは高くついた。2021年9月5日、バーゼル。スイス対イタリア戦は2022カタールW杯の出場権を手に入れるための大事な試合だった。0-0の状況でイタリアにPKが与えられたが、ジョルジーニョのシュートはGKに防がれた。

 そして11月12日、ローマで行なわれたスイスとの2戦目。終了2分前のところでまたもイタリアがPKを得る。しかしこれもまたもジョルジーニョが失敗。試合は1-1で終わり、カタール行きの切符はスイスが手に入れた。ふたつのPKのうち、1本でもゴールに入っていたなら、イタリアはW杯行きを決めていただろう。こうしてロベルト・マンチーニ率いるヨーロッパ王者は3月24日の夜にプレーオフを戦うこととなった。

北マケドニア戦に向けて練習中のイタリア代表とロベルト・マンチーニ監督(photo by Claudio Villa/Getty Images)北マケドニア戦に向けて練習中のイタリア代表とロベルト・マンチーニ監督(photo by Claudio Villa/Getty Images)この記事に関連する写真を見る プレーオフは4チームずつ3つのグループに分かれて行なわれる。トーナメント方式のため、もう引き分けなどという生ぬるい結果は許されない。残念ながらイタリアはくじ運がなく、11月に行なわれた組み合わせ抽選で、同グループにポルトガルを引き当ててしまった(他はトルコ、北マケドニア)。

 イタリアはプレーオフ初戦の北マケドニア戦をパレルモで、ポルトガルはトルコとの試合をポルトで戦う。どちらもホームだ。ここまでは何の問題もない。問題はその後だ。イタリアとポルトガルが勝ち進んだ場合、29日の決勝が行なわれるのはポルト。ポルトガルに有利であることは言うまでもない。

 また、たとえトルコが勝ち進んだ場合でも、イタリアは決勝をトルコのコンヤでプレーしなければならない。どちらにせよイタリアは決定的な試合をアウェーで戦う。そこでまた思うわけだ。ああ、あのPKさえ決まっていたら......。

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