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C・ロナウドがやはり個性派軍団の中心だった。ポルトガル代表、W杯まであと1勝

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

「自分たちは、まだ何も勝ち取っていない」

 試合後、クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)は、勝利に沸き返る周囲をけん制するメッセージを発信している。

 カタールWに向けた欧州予選プレーオフ準決勝。ロナウドを擁するポルトガルは、トルコを3-1で下して決勝へ勝ち進んでいる。しかし、少しでも気を抜けば、一敗地にまみれる。事実、決勝の相手として有力視されたイタリアは、伏兵の北マケドニアに0-1と苦杯をなめているのだ。

 ポルトガルはカタールの地を踏めるのか?

トルコを破り、5度目のW杯出場まであと1勝となったポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドトルコを破り、5度目のW杯出場まであと1勝となったポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドこの記事に関連する写真を見る 2014年からポルトガル代表の指揮を取るフェルナンド・サントス監督は、「選手ありき」で能力を引き出す采配に特徴がある。

 論理明晰な戦術で、革新的なサッカーを実現するタイプではない。親分肌で、個性豊かな選手をまとめ、うまくはまった時は思った以上に力を発揮する。EURO2016では優勝、2019年のUEFAネーションズリーグでも優勝を遂げている。リカルド・クアレスマ(ビトーリア)、エデル(アル・ラーイド/サウジアラビア)のように"ひと癖ある選手"の起用法にも長け、偏見なく人を使える"器の大きな"指揮官と言えるだろう。

 組織に個人を当てはめるのではなく、戦術、技術に優れた個人で組織を形作る。そのため、戦いは柔軟。そこはかとない「自由さ」が見える。

 とりわけ、攻撃面は闊達なプレーが特徴だ。

 トルコ戦でも、4-3-3で相手を押し込んで強さを見せた。アンカーのジョアン・モウチーニョ(ウルバーハンプトン)が作り、インサイドハーフのベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)がプレーを動かす。サイドをオタビオ(ポルト)、ディオゴ・ジョッタ(リバプール)が崩し、ロナウドが前線で起点になった。5-2-3の布陣のトルコのハイラインを破り、押し下げてスペースを作り、めくるめくように好機を創出した。

 前半14分、ロナウドがラインを破ってモウチーニョのパスを引き出し、深い位置を取る。ジョッタが狙ってこぼれたボールをB・シウバが左ポストに当て、オタビオが詰めて先制。ポルトガルの真骨頂と言える波状攻撃だった。 

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