シェフチェンコ、アルシャヴィン...名選手を生んできたウクライナとロシア。いつか同じW杯の舞台に立てる日を願う (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AP/AFLO

競うようにユーロ、W杯を開催

 ちょうどその頃は、ロシアもウクライナも豊富なエネルギー資源をベースに飛躍的な経済成長を遂げていた時代。特にロシアでは各クラブに大企業の資本が投下されるようになって、国内リーグが発展期に突入する。次第に地方クラブの成長が顕著になり、サンクトペテルブルクを本拠地とするゼニト、カザンを本拠地とするルビンが国内タイトルを制するようになっていった。

 その時代を象徴する出来事が、2007-08シーズンにアンドレイ・アルシャヴィンを擁するゼニトが成し遂げたUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)初優勝の快挙だ。そのアルシャヴィンを大黒柱とするロシア代表も、オーストリアとスイスで開催されたユーロ2008に出場すると、大躍進。準々決勝でオランダを破ってベスト4進出を果たしている。

 2010年代になると、力強い経済を手にした両国は、競技面以外でもヨーロッパサッカー界の先頭集団に加わった。2012年、ウクライナはポーランドとともにユーロのホスト国になり、2018年にはロシアがW杯を初開催。残念ながらウクライナは自国開催のユーロでグループリーグ敗退となったが、ロシアは過去最高成績となるベスト8に進出。ロシア国民も大いに盛り上がった。

 近代サッカー史において、このような発展を遂げてきたロシアとウクライナ。この両国の代表チームは、ユーロでは直近3大会で同時出場を果たしているが、まだ同じW杯の舞台に立ったことはない。

 平和のうえに成り立っているのがスポーツゆえ、現在の国際情勢を鑑みれば、今回のプレーオフの措置はあって然るべきだと言えるだろう。そして今後も、今回の侵攻が両国のサッカーにどのような影響を及ぼすのか、見通せない状況が続く。いち早く平和が戻り、またロシアとウクライナのサッカー界が日常を取り戻すことを願わずにはいられない。

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