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マンU有利はどれほどのものか。CLに見え始めたアウェーゴールルール廃止の影響 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

番狂わせが減る可能性も

 試合はアヤックスが先行し、ベンフィカが追いつくという展開だった。前半を終えてスコアは1-2。ベンフィカにとって、アウェーゴールを2点許す展開は、従来ならば最悪だ。半分混乱しながら戦うことになるが、新ルールでは文字通りの1点差である。モチベーションを最後まで保てた理由だと考える。

 一方のアヤックスは、アウェーゴールを2点奪っても、従来のような喜びが湧かないことに気づき、元気を失ったという印象だ。一気呵成に攻め立てる"押せ押せムード"は、時間の経過とともに萎んでいった。新ルールはこの試合もホーム側に有利に働いた様子だった。

 インテルがホーム、ジュゼッペメアッツァにリバプールを招いた一戦は0-2という結果だった。アウェーゴールルールに基づけば、インテルはほぼ絶望だ。25対75ぐらいの関係になると思われるが、新ルールでは35対65程度まで差を詰めることができている。インテルは新ルールに救われたと言うべきだろう。

 旧ルールと新ルールとの違いが、結果となって表れるのは第2戦だ。選手はもちろん、監督にとっても初めての経験になる。

 従来と比較して面白くなるか否か。2-1から2-2に追いつくゴールが、実は逆転弾に値するという従来の仕掛けがなくなれば、ゲーム性はその分だけ低下する。ソロホームランが2ランホームランに化ける可能性がなくなれば、事件性は低下する。一発逆転が狙えなくなれば、番狂わせは減る。それは強者側に有利な設定に変化することを意味する。

 スタンフォード・ブリッジで、チェルシーとアウェー戦を戦ったリールは、後半18分、2-0となる失点を喫すると、リスクを犯してアウェーゴールを奪いにいこうとする反撃精神を失ったかに見えた。
 
 決勝トーナメント1回戦の第2戦は、非アウェーゴールルールの正体が、実に56年ぶりに明らかになる瞬間だ。ホーム有利、強者有利は本当か。実際にはどのように作用するか。歴史の変わり目にいると言ったら大袈裟だろうか。注視したい。

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