長谷部誠がクラブと異例の長期契約を結んだ背景。ドイツ紙も描く相思相愛

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

  長谷部誠とフランクフルトとの契約延長が発表された。2027年までの契約で、クラブ側は、2023-24シーズン以降はコーチングスタッフとしてチームに関わると発表した。もちろん"兼業"もあり得るのだろうが、そこには純粋な選手としての契約は2022-23シーズン限りというニュアンスがあった。

 これに対して、長谷部自身は自らのインスタグラムで、引退が決まっているわけではなく、その都度話し合うことになっていると、否定している。選手かコーチングスタッフかは来季以降の状態にもよるだろうが、いずれにしても異例の長期契約となった。

 クラブの公式サイトに掲載されていた短い動画では、長谷部は「27年まで? なんでもできるような気がするね」と、軽やかに笑顔で話している。そこからは、まだ選手としての自分を信じている様子と、その先の活動の場を得たことへの喜びが伝わってくるように思う。

フランクフルトと2027年までという異例の長期契約を結んだ長谷部誠フランクフルトと2027年までという異例の長期契約を結んだ長谷部誠この記事に関連する写真を見る 長谷部はこれまでフランクフルトと1年契約を繰り返してきた。そのたびに、現役引退後はフランクフルトにコーチングスタッフとして加わると伝えられてきたので、実は実質的な変更点はない。

 冬から春にかけてのどこかのタイミングで、長谷部との契約延長がクラブから発表されるのはもはや恒例行事になっており、いつもは契約の時点で、その年齢(と衰えを知らない活躍ぶり)をはしゃぎ気味に報じる大手スポーツ紙「ビルト」やフランクフルトを強く応援する地元紙「フランクフルター・ルンドシャウ」だが、今回はクラブの発表を読みやすく紹介した程度だった。

 そんななかで、全国紙「フランクフルター・アルゲマイネ」紙には長文の記事が掲載されており、目を引いた。

 記事によれば、長谷部は27年には43歳になるが、ブンデスリーガでピッチに立った最年長記録はクラウス・フィヒテルが1988年にシャルケで記録しており、これがちょうど43歳だという。ちなみに、フィヒテルは引退する5年前の84年からすでにシャルケで共同監督を務めており、どこか長谷部とかぶるものがあるのだ。

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