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マンU有利はどれほどのものか。CLに見え始めたアウェーゴールルール廃止の影響 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

ホームの利が加速する?

 日本国内では、2006年のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)の決勝トーナメントで、遅まきながら初めて採用された。とはいっても欧州に比べると、ファンがその魅力に触れる機会は少ないだろう。アウェーゴールルールがサッカー文化として完全に浸透しているわけではない。CLをテレビ画面で観戦したほうが、その魅力は伝わりやすい状態にある。

 一方、欧州人にとっては長年接してきたルールだ。1965年以前の世界を知っているオールドファンを除けば、観戦し始めた子供の時から存在しているレギュレーションだ。それが存在しない国からやってきた筆者のようなファンより、ありがたみを知らない可能性がある。そんなにあっさり手放していいのかと、こちらは懐疑的な目を向けたくなる。

 アトレティコ・マドリード対マンチェスター・ユナイテッドに話を戻せば、アトレティコは用心深い、悪く言えば守備的なチームだ。昨季までならば、1点リードすれば、アウェーゴールの被弾を恐れ、もう少し引き気味に構えたのかもしれない。しかし、この試合では委細構わず打って出た。その結果、マンチェスター・ユナイテッドに同点ゴールを奪われることになったのだが、アトレティコがシンプルに戦ったことで、試合そのものは面白くなった。

 アウェーゴールにこれまでのような重みが消えれば、ホーム側の攻撃的精神はこれまで以上に高まる。ホームの利は加速する。ホーム&アウェー色はむしろ強まるのではないか。アトレティコ対マンチェスター・ユナイテッド戦を見ての印象だ。

 同じ日に、ベンフィカのホーム、ダ・ルスで行なわれたベンフィカ対アヤックスは、2-2の引き分けだった。アウェーゴールルールのもとでは、1-1が40対60でアウェーチーム優位の関係だとすれば、2-2はそれ以上だ。37対63ぐらいではないだろうか。それが新ルールでは50対50になる。次戦がアヤックスのホーム、ヨハン・クライフ・アレーナで行なわれることを加味しても55対45。リードの幅には、従来と今回とで著しい開きがある。

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