香川真司を発掘したドイツの名スカウトも激賞。先発定着のCB伊藤洋輝 (2ページ目)
【名スカウトも驚く成長ぶり】
ミスリンタットはドルトムント時代に有望な若手を国内外から発掘し、その名を知らしめたスカウトで、「最初の大きな仕事は香川真司の獲得だった」と、たびたび語っている。香川だけでなく、ロベルト・レバンドフスキ(現バイエルン)、ピエール・エメリク・オーバメヤン(現アーセナル)、ウスマン・デンベレ(現バルセロナ)などを獲得し、ドルトムントがブンデスリーガ2連覇をした時の立役者だ。
その後、アーセナルを経てシュツットガルトのスポーツディレクターという立場になった。スカウトだった頃は、ラフな普段着のような格好で、記者席やスタジアムのあちこちをふらふらし、常に何かを探しているような姿をよく見かけたものだ。
そのミスリンタットは伊藤について、こうコメントしている。
「左足のキックがすばらしく、ビルドアップもすばらしい。デュエルには手応えがあり、ピッチ上では賢明なタックルをして守ることができる」
そして、当初は中長期的なプロジェクトとして下部組織との契約だった伊藤が、事前キャンプからすっかりトップチームの一員となったことについて、「ヒロキが僕たちを裏切ってくれた」と表現した。想像以上に適応が早かった、ということだ。
188センチの長身で、デュエルにも迫力がある。欧州の大型センターバックと見比べても見劣りしない。ジュビロ磐田時代はスピードのなさを指摘する声も聞かれたが、今のところそれが致命的になったシーンはない。
伊藤は現在、磐田からのレンタル移籍中で、22年6月末に契約は切れるが、シュツットガルトは40万ユーロ(約4800万円)とも言われる低額での買い取りオプションを有している。センターバックでプレーしていたマルク・ケンプフは、すでにヘルタ・ベルリンに売却されており、シュツットガルトは伊藤を買い取る意向を明らかにしている。
ドイツのサッカーメディア『Fussball.news』は「伊藤に注目しているクラブは夏の時点では少なかった。だが、ミスリンタットはさまざまなところに目を向けていた」と、スカウトの慧眼を指摘する。
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