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今季CL優勝候補筆頭のバイエルンの戦術。個々のアスリート能力全開でよどみなく圧倒的に攻め続ける (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【ゴール前に殺到するアタッカー】

 相手にボールを持たれていても、スペースを埋めて構えた状態で守っていれば、そうそう失点するものではない。しかし、バイエルンは実にあっさりと中盤を通過して攻め込んでくるので、結果的に守備側は全体が背走状態になる。

 自ゴールへ向かって走っているDFは守れる範囲が極端に狭い。あちこちに守れない場所が発生する。バイエルンはフィニッシュの前段階でかなり有利な状況を作れている。

 そして自ゴールへ戻っているDFの死角に、バイエルンはアタッカーそれぞれが入って行く。それも1人や2人ではなく、4人ぐらいがいっせいに行く。もともとクロスボールが大好物のレバンドフスキとミュラーがいて、さらに2人ぐらいは突っ込んでいく。そこへスピードのある際どいクロスが入ってくるので、守備側はたまったものではない。

 速さで相手を弱らせ、個々に強くてうまい選手が4人も5人も殺到してくる迫力はすさまじく、何とかクリアしてもハイプレスで圧力をかけられる。ノンストップでゴール前まで戻らされた相手には、反撃の余力が残らない。

 このあたりのリズムの作り方はリバプールと似ていて、インテンシティという強みを最大限に活用し、ゴール前に集約させている。

 今季はダビド・アラバ(現レアル・アドリード)が移籍したことでCBが代わった。ダヨ・ウパメカノとニクラス・ジューレあるいはリュカ・エルナンデスのコンビになったが、ラインコントロールに難があり、カウンターを食らうとたびたび混乱している。GKマヌエル・ノイアーに助けられているが、これはかなりはっきりした弱点と言える。

 しかし、そうした弱点を補ってあまりある攻撃力が、バイエルンにはある。

◆【図】バイエルンほか、2021-22シーズン中間地点 欧州トップ10クラブ最新フォーメーション

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