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誰がCFでもいいマンチェスター・シティ。グアルディオラ監督が行き着いたトータルフットボールの極み (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 バイエルンではロベルト・レバンドフスキという本物の9番がいたので、偽は使っていない。この時は、バルセロナでほとんど使わなかったハイクロスも多用した。グアルディオラ監督の戦術はどのチームでも共通している部分と、チームによって異なるところがある。

 ビルドアップで敵陣まで運ぶのは一緒だが、アタッキング・サードからフィニッシュにかけては違う。ここはゴールゲッターにどんな選手がいるかによって手法を変えている。選手との化学反応だ。

 シティのCFはセルヒオ・アグエロだった。しかし、メッシやレバンドフスキを活かしたようなオーダーメイドは特にしていない。9番にも偽9番にも依存しない方法を見つけたからだろう。言い方を変えると、CFが「誰でもいい」アプローチだ。

<ペナルティーエリアに4人、ゴールエリアに3人入る>

 ペナルティーエリアの縦のラインは、16.5メートルある。およそこのあたりから相手ゴールに近い場所にボールを運べた時は、少なくとも4人がペナルティーエリア内に入る。これはほぼ実行されている。逆にボックス内の人数が足りない時は攻撃をやり直す。

 通常、サイドからクロスボールが入ってくる時のボックス内の人数は、3人が理想的と言われてきた。ニアポスト、ファーポスト、プルバック。この3カ所に人がいれば十分だと。

 場合によっては4、5人がゴール前に殺到していくこともあるが、標準は3人で、むしろ1人か2人というケースも多々ある。ところが、シティは少なくとも4人。5人、6人の場合もあるのだ。

 例えば、スターリングがペナルティーエリアの左角あたりでボールを持って、そこからカットインあるいは縦への突破をうかがう状態になった時、ペナルティーエリア内にはジェズス、マフレズのほかにインサイドハーフのイルカイ・ギュンドアン、ベルナルド・シウバが必ず入って行く。

 スターリングが縦に抜いてクロスを入れる、カットインしてシュートする、ボールを下げてジョアン・カンセロが斜めのハイクロスを蹴る、そのいずれの場合でもゴール前で4人が狙っている。

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