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誰がCFでもいいマンチェスター・シティ。グアルディオラ監督が行き着いたトータルフットボールの極み (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 ゴールライン近くまでえぐった時は、ペナルティーエリアではなくゴールエリア付近に4人、あるいは少なくとも3人が詰める。

 単純に人数が多いので、高速クロスが誰かに「当たる」確率はそれなりに高く、相手が触った場合でもこぼれ球を拾える確率が高い。4人の相手DFが全員ボックス内にいるとしても、全員が背後をとられていればマークするのは困難である。

 おそらくこれが「誰でもいい」理由だろう。ボックスに最低4人がいるので、誰かには「当たる」。当たれば至近距離からのシュートになる。CFとしての特別な技量は特に問われない。4人の誰かがボールに足や体を当てればいいだけなので、CFが本格派だろうが偽だろうが構わないのだ。頭数の勝負である。

<分厚い後方部隊のバックアップ>

 ウェストハム戦の先制点は33分、左サイドからカンセロがサイドチェンジした時点で、シティは4人のアタッカーがボックスへ突入開始。それをマークするウェストハムの4人もゴール前へ戻る。

 DF4人が引っ張られたので、カンセロからのロングパスを受けたマフレズはペナルティーエリア内の右端でフリーだった。マフレズは得意の切り返しから左足で低いクロスを送ると、ゴールエリアにいた3人のうち一番遠い場所にいたギュンドアンがゴールから至近距離でタッチして得点。

 2点目は90分、ペナルティーエリア左外でロドリのパスを受けたベルナルド・シウバがもう1つ短く縦へ流し、ジェズスがエリア内に突入。ジェズスのプルバックをフェルナンジーニョが丁寧なインサイドキックでゲットした。この時も、すでにギュンドアン、ベルナルド・シウバ、マフレズもボックス内にいた。

 こうした相手ゴール前の人海戦術が可能なのは、その前段階の段取りにある。

 まずボールを運べる。圧倒的に運べる。グアルディオラ監督のチームの共通項だ。そして、シティの場合は攻め込んだ時のバックアップ要員が厚い。ポジション・レスな流動性はトータルフットボールの最新バージョンなのだが、カウンターケアの後方部隊だけは決まっていて、2人のセンターバック(CB)の前にアンカーのロドリと両サイドバックの計3人を置いている。

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