ファン・ハールのカリスマ性は70歳になっても絶大。蘇ったオランダ代表、2大会ぶりのW杯へ (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 モンテネグロに引き分けたとはいえ、まだオランダはワールドカップ欧州予選F組の首位。それでも、まずい試合運びで勝ち点を失ったことに、選手たちは大きなショックを受けた。

 また、ファン・ハール自身も交代策が裏目に出たことや、遠征に帯同させたMFマルテン・デ・ローン(アタランタ)をメンバーに入れなかったために中盤の守備固めで起用できなかったことなどによって批判を受けた。

 11月16日に行なわれたF組最終節は、首位オランダと2位ノルウェーの直接対決が組まれていた。首位オランダにとっては、ノルウェーに引き分ければいい。

 しかし、ノルウェーは3日前、オランダがモンテネグロに2−0とした時点で一度死んだ身である。それが突如、「オランダに勝てばワールドカップ出場」というところまで蘇った。「流れはノルウェーにあり」というネガティブな見立てがオランダ国内に漂った。

 ファン・ハールにとって、今回が3期目のオランダ代表監督だ。1期目は2002年ワールドカップ予選で敗退した。

 ポルトガル相手に2点リードしながら、さらに3点目を狙う攻撃策をとった挙げ句、2−2の引き分けに終わってしまったこと。アイルランド相手に先発のパトリック・クライファルト、ルート・ファン・ニステルローイに加え、ピエール・ファン・ホーイドンクとジミー・フロイド・ハッセルバインクを入れて4人ものセンターFWを並べたものの0−1で負けたこと。このふたつの試合は今もなお、オランダで語り草である。

 攻撃策こそとらなかったものの、モンテネグロに2点のリードを守りきれず2−2に終わったことは、20年前のポルトガル対オランダを想起させた。

「もしかしたら、今度のオランダ対ノルウェーは20年前のアイルランド対オランダのような結果に終わるのでは!?」

 現地では不吉な声もあった。何よりファン・ハール自身、当時のことが頭をよぎったという。

「とはいえ、今回は同じようなことにはならないだろう」(ノルウェー戦前日のファン・ハール監督)

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