ポルトガルのユーロ敗因はロナウドか。36歳の絶対的エースとどう向き合うべきか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 グループリーグ3試合を終了して、奪った得点は5。得点王争いでも、ロベルト・レバンドフスキ(ポーランド)、ロメル・ルカク(ベルギー)、パトリック・シック(チェコ)などを抑え、トップに立っていた。ロナウドは健在ぶりを最大限アピールしていた。

 しかし、ポルトガルは決勝トーナメント1回戦、ベルギーに0-1で敗れた。内容では勝者を上回っていたが、何かが足りなかったことも事実だ。原因は何だろうかと考えると、ここまで持ち上げてきたロナウドに行き着く。彼を最後まで引っ張らずに、後半なかばでベンチに下げていれば、違った結果になっていたのではないか。得点ランキングでトップを走るロナウドを少々、買いかぶりすぎていたのではないか――とは、後半の戦いを見ながら抱いた感想だ。

 5年前、ユーロ2016に出場したロナウドは、まさに鋼のような身体をしていた。いい意味での硬さがあった。ゴール前でひとり揺るぎない、圧倒的な逞しさを発揮していた。

 その硬質なプレーが、ベルギー戦では見て取れなかった。ロナウドは真っ先に交代させるべき、頼りなさげな選手に見えた。得点5のうちPKが3点。1点は先述のコンビネーションプレーで奪ったハンガリー戦のゴールになるが、ドイツ戦で奪ったもう1点は、左ウイングのディオゴ・ジョタ(リバプール)がお膳立てした、言わば"ごっつぁんゴール"だった。さすがロナウドと、見る者を唸らせる得点はゼロだった。

 1985年生まれの36歳。この現実から、筆者のみならず、ポルトガルベンチも目を背けていたような気がする。フェルナンド・サントス監督は、短期集中トーナメントに適した、メンバーをやりくりすることがうまい監督として知られる。さまざまな選手を起用しながら、多くの試合数を戦うことに長けている。チームの調子は、大会後半に進むにしたがい上がっていく。実際、前回大会でポルトガルが優勝した要因を語ろうとすれば、やりくり上手なその采配は、真っ先に挙げられる要素になる。

 今大会の戦いも例外ではなかった。使える選手の数はどのチームより多そうに見えた。決勝戦まで戦えそうな采配を見せていた。だが1点、見落としていた箇所があった。ロナウドの出場時間だ。

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