ポルトガルのユーロ敗因はロナウドか。36歳の絶対的エースとどう向き合うべきか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

ユーロ2020でベルギーに敗れたポルトガルのエース、クリスティアーノ・ロナウドユーロ2020でベルギーに敗れたポルトガルのエース、クリスティアーノ・ロナウド バロンドールの受賞回数5回。リオネル・メッシ(バルセロナ)の6回に比べて1回少ないが、代表チームへの貢献度は、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)のほうが高いと見る。アルゼンチン代表の中にきれいに収まるメッシを見たことがない。中盤に下がり、必要以上にゲームメークに参加、悪い意味で"濃い"癖のあるプレーを見せる。それに対してポルトガル代表のロナウドは、フォアザチームに徹している。

 もっとも、ユーロ2008の頃のロナウドはまだメッシ的だった。左ウイングで出場したにもかかわらず、中央に移動したり、チームのバランスを崩すような奔放なプレーを見せていた。負の要素を発露させながらプレーする時間が多かったが、その好ましくないポジションワークは、センターフォワード(CF)に固定されると同時に解消された。役割がスッキリしたことで、トップの位置にきれいに収まることになった。

 優勝した前回大会(ユーロ2016)のポルトガルは、まさにそんな感じだった。チームのバランスが何よりよかった。フランスと「完全アウェー」の中で対戦した決勝戦。ロナウドは前半の途中、ケガのために泣く泣くピッチを後にした。ポルトガルは絶体絶命のピンチに陥った。

 印象的だったのは、その後、ロナウドがベンチの前に立ち、フェルナンド・サントス監督より大きなジェスチャーで、ピッチの選手にゲキを飛ばす光景だ。比較することはできないが、メッシより、代表チームに対する忠誠心が高そうに見える。クラブでプレーする時とは、明らかに別の顔で臨んでいる。

 今大会も、ロナウドのポジションは4-3-3あるいは4-2-3-1の1トップだった。布陣の中にきれいに収まっていた。初戦のハンガリー戦で、追加点となる2点目のPKを決め、さらに終了間際、右サイドから周囲と細かいコンビネーションプレーで奪った3点目のシーンなどを見せられると、ロナウドを1トップに据えるポルトガルの先行きは明るそうに見えた。

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