ポルトガルのユーロ敗因はロナウドか。36歳の絶対的エースとどう向き合うべきか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

◆世界トップレベルで活躍するサッカースターたち

 ベルギー戦まで4試合でフルタイム出場した選手は、ポルトガルに5人いた。ルイ・パトリシオ(ウォルバーハンプトン/GK)、ぺぺ(ポルト/CB)、ルベン・ディアス(マンチェスター・シティ/CB)、ラファエル・ゲレイロ(ドルトムント/SB)という、最終ラインを形成する4選手は理解できる。だが、ロナウドはどうなのか。

 CFは活きのよさが不可欠な、早めの交代が必要とされるポジションだ。しかも36歳だ。いくらバロンドール受賞者でスーパースターといっても、この調子で最後まで戦うことはできない。さらに言うならば、かつてのような圧倒的な強さも備えていない。

 やや衰えたロナウドをどう使うか。これこそがポルトガル浮沈のカギだったのだ。しかし、フェルナンド・サントス監督は、ロナウドをアタッカー陣の中で360分、フルに使ってしまった。このベルギー戦でも、スタメンを張ったベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、ジョタ、レナト・サンチェス(リール)というアタッカー陣は時間の経過とともにベンチに下がったが、ロナウドは同様に消耗しているはずなのに、最後の瞬間までピッチに残ることになった。

 ポルトガルは、そのぶんだけ可能性を減らしていった。

 ロナウドはつまり、変えられない選手だったということだ。それこそがポルトガルの弱点だった。皮肉を感じずにはいられない。ポルトガルに課せられたこの宿命は、本大会を1年5カ月後(2022年11月)に控えているカタールW杯本大会まで持ち越されるのか。

 ロナウドは絶対的エースとして、いつまで君臨するのか。他にいい選手がいないのなら、それも仕方がないが、ポルトガルはいまや欧州でも屈指の人材の宝庫だ。この試合に、もっと早い時間から投入したかったアンドレ・シウバ(フランクフルト)、ジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリード)など、特にアタッカー陣にいい選手がひしめいている。

 36歳になったスーパースターと、ポルトガルはどう向き合うか。ポルトガルという遠い国の話ではあるが、目を凝らしたい。

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