ユーロでスイスのスーパースターが爆発。ひときわ小柄もド派手なゴールで真価を発揮

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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サッカースターの技術・戦術解剖
第64回 ジェルダン・シャキリ

<スイスのスーパースター>

 ユーロ2020のグループステージ。スイスはウェールズに引き分け、イタリアに敗戦。そして最後のトルコ戦、ハリス・セフェロビッチが6分に先制、つづくシャキリの連続ゴールで3-1。勝つしかなかった試合に勝利してグループA3位となり、他グループ3位の成績を待って勝ち上がりが決まっている。

ユーロ2020で活躍中。スイス代表のシャキリユーロ2020で活躍中。スイス代表のシャキリこの記事に関連する写真を見る 3-4-1-2のフォーメションを組むスイスで、「1」を担当しているのがジェルダン・シャキリだ。

 ひときわ小柄な169㎝。「アルペンのメッシ」というニックネームがあるそうだが、メッシと比べるとかなりゴツい。ただ、左利きでとびきり機敏、マジカルなテクニシャンというところは共通している。

 スイスの強豪クラブ、バーセルで大活躍した後、バイエルン(ドイツ)、インテル(イタリア)、ストーク・シティ、リバプール(以上イングランド)と移籍してきた。

 ストーク・シティ以外はビッグクラブなので、タイトルはその都度獲得してきたが、バーゼル時代のようにチームの中心として活躍できたわけではなく、スターたちの間に埋もれてしまっている。

 しかし、スイス代表は別だ。シャキリはスイスのスーパースターであり、彼に代わる才能はいない。替えの利かない存在として、唯一のポジションを任されている。

 2014年ブラジルW杯では、初戦のエクアドル戦でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選出され、3戦目のホンジュラス戦でもハットトリックを決める活躍で再びMOMに。10日間で2回の快挙だった。

 チームもベスト16に進出、ラウンド16ではアルゼンチンに0-1で敗れたが、シャキリはスイスの牽引車だった。この時だけでなく、シャキリのゴールとパスは常にスイスを前進させてきた。

 そして今回のユーロでも重要なトルコ戦で2ゴール。リバプールでの出場時間があまりにも少ないことが懸念されたが、3戦目にして本領を発揮して期待に応えた。

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