FC東京育ちの原大智、リーガ入りの舞台裏。アラベスでの活路は「大型FW」である点か
「(スペイン1部)デポルティーボ・アラベスは、日本人ストライカーの原大智と2023年6月末までの2年契約にサインしたことを発表した。22歳の原は、身長190㎝で両足を使いこなす。機動力に優れ、俊敏で、得点センスに長けるFWだ」
6月24日、スペインの大手スポーツ紙『アス』は期待を込めて、そう打電している。
原は昨シーズン、クロアチア1部リーグのNKイストラ1961で14試合出場2得点。定位置をつかんでチームの1部残留に貢献した。また、クロアチアカップでは4試合連続の6得点で決勝進出の立役者になった。決勝戦では、クロアチア代表選手をずらりとそろえたディナモ・ザグレブに対し、ヘディングとクロスに合わせた左足で2得点を叩き込んだ。
2020年夏、FC東京から海を渡った原はクロアチアでの実績を引きさげ、1年で世界最高峰リーガ・エスパニョーラの扉を叩いている。それはひとつの冒険譚と言える。結果を残せば、誰にでも成り上がれるチャンスがあるのだ。
去年までFC東京に所属。クロアチアのNKイストラ1961を経てアラベスに入団した原大智 もっとも、原は固く閉じた門の前に立ったにすぎない。
「原はプレシーズンキャンプに合流することが決まった」
『アス』はそう強調している。つまり、実状はトライアルに近い。
「2019年にアラベスでプレーした乾貴士は国際的な選手だったが、原は国際的には無名。まずはトップチームに登録メンバーとして入れるか。場合によってはレンタル、もしくは4部リーグのセカンドチームでのプレーになるだろう」
アラベスは2018年夏にイストラの株式の85%を買い取って、提携クラブとしている。パス保有選手であるカメルーン代表GKファブリセ・オンドアやスペイン人選手をイストラに武者修行に行かせるなど、すでに人材交流が活発になっている。原の契約はその一環で、逆に"お試し期間"でうまくいかなかったら、"復帰"も十分に考えられる。
原は、まずはプレシーズンで生き残りをかけることになるだろう。
昨今、凋落が囁かれるリーガだが、今でも各国代表や気鋭のスター候補がごろごろいる。実績と実力を兼ね備え、さらに運に恵まれた選手でなければ、活躍するのは難しい。そこは修羅の世界だ。
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