FC東京育ちの原大智、リーガ入りの舞台裏。アラベスでの活路は「大型FW」である点か (2ページ目)
昨シーズンも多くの日本代表選手たちが挑戦しているが、いずれも苦戦を余儀なくされている。
久保建英はビジャレアル、ヘタフェとチームを変えたが、最後にチームの1部残留を決定づけるゴールを決めて、帳尻を合わせるのが精一杯だった。ウエスカの岡崎慎司は、2部では昇格の立役者となるチーム得点王となったが、1部では定位置を失い、チームは降格した。乾貴士、武藤嘉紀はいずれも1得点にとどまり、所属するエイバルも2部降格の憂き目を見ている。2部レガネスの柴崎岳は波のあるプレーで、チームを昇格に導けなかった。
アラベスは、昨シーズン3人目の指揮官となるハビエル・カジェハ監督でようやく残留を決めたチームである。とはいえ、5シーズン連続の1部在籍で、弱小とは言えない。4-4-2でクロス攻撃を重んじるオーソドックスな戦いは、ひとつの伝統と言えるだろう。
現状2トップは、スペイン人のルーカス・ペレスとホセルの2人。日本人にはなじみがないかもしれないが、実績は原をはるかに凌ぐ。ペレスは1部にいたデポルティーボ・ラ・コルーニャのエースで、2015-16シーズンには17得点を挙げて注目を浴び、強豪アーセナルに移籍。そこでは挫折を味わうが、アラベスで復活した。ホセルはレアル・マドリードでの試合経験もあり、ブンデスリーガで2シーズン連続二けたゴールを決め(カップ戦を含む)、プレミアリーグの経験もある。アラベスでは2年連続二けたゴールを記録している。
2人とも"国際市場クラスのFW"と言える。3番手がスウェーデン代表のヨン・グイデッティだろうか。ここに新たな補強FWや下部組織の若いFWが、競争に加わることになるだろう。
原が活路を見出すとすれば、大型FWである点だろう。アラベスはバスクのクラブで、センターフォワードには単純な強さ、激しさ、そして高さを求め、好む。ポストプレー以上に、クロスを叩き込めるシーンひとつで、見る者の心をつかめる。ディナモ・ザグレブ戦での、左クロスに巨体を浮かせてヘディングで叩き込んだ一撃は、獲得の決め手になったのではないか。
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