強すぎるフランスにポグバがいるのはズルい。小学生と大人の対戦のよう
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サッカースターの技術・戦術解剖
第63回 ポール・ポグバ
<オールマイティーなフランスの象徴>
ユーロ2020のグループリーグ注目の一戦、フランス対ドイツは、1-0でフランスが勝利した。マッツ・フンメルス(ドルトムント)のオウンゴールが決勝点だった。
タコのようなキープ力! ユーロ初戦で、マン・オブ・ザ・マッチの活躍だったポグバ 右のハーフスペース(サイドと中央の間)からフランスのポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)がアウトサイドで蹴ったクロスは、中央のDFの頭上を越えてファーポスト前へ。追いついたリュカ・エルナンデス(バイエルン)の折り返しを、フンメルツがCKに逃げようとしてクリアしれずに自陣ゴールに入っている。
ポグバのキックは計算されたものだが、同時にアウトで蹴ったことで意表もついている。アウトサイドキックなのに、まるで大人が小学生用の4号球を蹴ったように飛んでいった。
後半はドイツが攻勢をかける。しかし、攻めても守っても強いフランスは機をみて鋭いカウンターアタックを突き刺した。65分にキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)が、見事にコントロールされたシュートを決めるがオフサイド。85分にもポグバのパスからエムバペが抜け出し、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)が決めるがこれもオフサイド。
展開はドイツが押し込んでいたが、際どいオフサイドがなければ試合は3-0だった。エムバペがフンメルツに倒された場面があったが、あれがPKなら4-0だったかもしれない。
フランスは相変わらずよくわからないチームだ。強いのは間違いない。優勝候補筆頭だろう。ただ、どう強いのかがよくわからない。それは優勝した2018年ロシアワールドカップでもそうだった。
例えば他の強豪国は、相手守備のライン間でパスを受ける選手を用意して、いかにそのスペースに入るか、さらにボールをどうやってそこへ届けるかについて、チームとしてのパターンを持って臨んでいる。
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