「名選手、名監督にあらず」の格言を実証したスーパースターたち
「名選手、名監督にあらず」。この格言がどのスポーツより当てはまるのが、サッカーだ――。
そう記したうえで、その例外となる存在、「名選手、名監督なり」と言いたくなるような面々を列記したコラム(※1月13日配信)に続いて、今回はまさに"格言どおり"という代表例に迫ってみたい。
格言になるくらいだから、絶対数ではこちらのほうが勝ることは間違いない。しかしながら、具体的な名前はそう簡単に出てこない。早い段階で、自らに監督としての適性がないと判断。監督の道を早々に断念するケースが多いからだ。
いくら元スター選手でも、監督として結果が出なければ「それとこれとは話が別だ」とばかりに、ファンやメディアは容赦ない批判を浴びせかける。現役時代、何かと持ち上げられることが多かった元スター選手にとって、これはつらい仕打ちになる。"俺様"的な振る舞いをしてきた、下手に出ることを知らない選手にとってはなおさらだ。
他の監督と同じように、結果が出なければ即刻クビ。精神的には、背負っている過去の栄光がむしろ災いとなる。
サッカー界屈指の名選手、マラドーナ(写真左から2番目)。南アフリカW杯ではアルゼンチン代表監督を務めたが..."名選手、名監督にあらず"を語ろうとしたとき、最もわかりやすい例は、ディエゴ・マラドーナ。現役選手としての実績は今さら説明するまでもないだろうが、W杯には1982年、1986年、1990年、1994年と4大会に出場。1986年メキシコ大会ではアルゼンチンを頂点に導いた。所属クラブではアルゼンチンのボカ・ジュニアーズ、スペインのバルセロナ、イタリアのナポリなどで活躍した世界的なスーパープレーヤーだ。
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