「名選手、名監督にあらず」の格言を実証したスーパースターたち (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyam Shigeki
  • photo by REUTERS/AFLO

 現役時代はブラジルのサンパウロをはじめ、日本の鹿島アントラーズ、イタリアのミランなどで奮闘。1994年、1998年とW杯に2度出場するなどブラジル代表でも活躍したレオナルドも、ミランで1シーズン(2009-2010シーズン)、インテルで約半年(2010-2011シーズン)、監督を務めた。

 2年程度で監督業からあっさり足を洗ったレオナルドとは対照的に、ジーコはトータル20年近く指揮官であり続けた。ただし、"名選手、名監督にあらず"――欧州の各クラブでは栄冠を手にしているが、少なくとも日本代表監督時代の4年間の采配を見る限り、そう言いたくなる。

 日本にゆかりのある元名選手で、触れておきたい人物がもうひとりいる。ブラジル代表のキャプテンとして1994年のW杯で優勝し、その後、ジュビロ磐田でプレーしたドゥンガだ。

 ブラジル代表監督として臨んだ2010年南アフリカW杯では、準々決勝でオランダに逆転負け。最大の敗因は、守備的MFフェリペ・メロがオランダの右ウイング、アリエン・ロッベンを踏みつけて一発退場に処されたことにあるが、それもこれも、構造的にブラジルがサイド攻撃で後手を踏んでいたことにある。

 サイド攻撃重視型の4-3-3で臨んできたオランダに対し、クリスマスツリー型の4-3-2-1で応戦したドゥンガ率いるブラジル。ロッベンの活躍も試合の結果も、キックオフの瞬間から見えていた。

 ドゥンガはここで"名選手、名監督にあらず"であることを露呈させたにもかかわらず、再登板を果たしている。100周年を記念して行なわれた2016年のコパ・アメリカだ。結果はグループリーグ敗退。大会後解任されたドゥンガは、以降、監督業から離れている。

"名選手、名監督にあらず"は、とりわけブラジルに当てはまる気がする。はたして、ブラジル人の名選手が監督として、欧州を舞台に鮮やかな采配を揮う日は訪れるだろうか。

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