欧州CL出場各クラブの現状を解析! コロナ下の超過密日程の影響は (6ページ目)

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◆欧州をざわつかせるアタランタ。ローカルヒーローの生きざまを見よ!>>

中山 アタランタとラツィオがベスト16に残ったのは、イタリアサッカー界にとって明るいニュースになったと思います。とくにアタランタは、ティモティ・カスターニュ(ベルギー)以外はほぼ主力が残留し、ベスト8入りした昨季のチームを継続しながら、CLの成功体験をそのまま生かすことができました。昨季のGS序盤は苦戦しましたが、今季は波がなく、リバプールにも1勝1敗の成績を残したことがその証といえます。

 ただし、ここにきてキャプテンのアレハンドロ・ゴメス(アルゼンチン)とジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督(イタリア)の間で軋轢が生まれてしまったのが心配です。もし冬にゴメスが移籍してしまうようだと、ひとつにまとまっていたチームが一気に崩壊する危険性もあると思います。

倉敷 ここ数年のアタランタはひとつのピークを迎えているように思います。ヨーロッパでの経験値も蓄積され、ガスペリーニのサッカーは魅力的です。小さなクラブながら、ゴメスという特別な選手がいる。彼のキャリアとチームのピークがシンクロしています。もともと育成面が高く評価されているクラブですが、昨季に続く結果を残せればいずれ欧州カップ戦の常連になる礎を築ける気がします。エリート入りなるか? プロビンチャ(地方の小都市のクラブ)にとって勝負の年ですね。

 では、次にフランス勢に話を移しましょう。唯一の突破を果たしたパリについてはラウンド16の展望でたっぷり話すことにして、リーグ・アン勢全体の評価と敗退した2チームについてお願いします。

中山 フランス勢としては、パリだけがベスト16に残るという、例年どおりの状態に戻ったということでしょう。パリとリヨンがベスト4に入った昨季は、ある意味偶然なところがあったと思います。いつになくパリは組み合わせに恵まれていました(笑)。リヨンもシステム変更が奏功し、コンディションもファイナル8にピークを持ってくることに成功しました。それは、他リーグがリーグ戦を再開したのとは対照的に、リーグ・アンが早い段階でシーズンを打ち切っていたのも吉と出たのだと思います。

 今季敗退したマルセイユとレンヌの2チームについては、どちらもCLでの経験値が低すぎたのが最大の要因だと思います。財政難のマルセイユは夏の補強がうまくいかず、CLを戦うだけの戦力がありませんでした。昨季は、システムを4-3-3にして固定メンバーで戦いつづけて安定性を保てました。さすがにアンドレ・ビラス・ボアス監督(ポルトガル)もひとつのやり方だけではCLを乗り切れないと見て、今季はメンバーの入れ替えや複数システムの採用に踏み切りましたが、結果的にそれが安定感を失う原因となってしまいました。

 一方、CL初出場のレンヌは補強も積極的に行ない、優秀な若手も多く伸びしろのあるチームなので期待していましたが、いかんせん経験値が足りなすぎました。ただ、試合内容はそれほど悲観するものではなかったですし、CLを経験した若手がこれから国内でどのように成長していくのかが楽しみです。それはジュリアン・ステファン監督(フランス)についても同じで、彼はディディエ・デシャン代表監督(フランス)の右腕であるギー・ステファン(フランス)を父に持つサラブレットなので、まだ監督として化ける可能性があると思います。

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