2021.01.09

久保建英はヘタフェでフィットするか。柴崎を見切った指揮官の戦術は

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「ようこそ、鮮やかなブルーファミリーへ」

 1月8日、リーガ・エスパニョーラ1部のヘタフェは、公式に久保建英(19歳)の移籍入団を発表している。

 今シーズン、マジョルカからビジャレアルに移籍していた久保は、ヨーロッパリーグのグループリーグ5戦すべてに先発出場し、決勝トーナメント進出に貢献していた。しかしリーグ戦では13試合に出場したものの、先発は2試合のみ。"カップ戦要員"になっていた。

「久保はまだまだ学ぶことがある」

 ビジャレアルのウナイ・エメリ監督は、ことあるごとに言い続けていた。徹底したリアクション戦術において、守備での強度や立ち位置での不満があったのだろう。久保との関係は深まるどころか、乖離していった。

ビジャレアルからヘタフェへの移籍が発表された久保建英 そもそもビジャレアルにとっては、フェル・ニーニョ、ジェレミー・ピーノといった下部組織出身の有望なアタッカーを登用するほうが価値を生み出すことになる。彼らは今後も戦力になるし、高額の移籍金でクラブの金庫を潤す可能性もある。しかし久保は我慢しながら活躍させても1シーズンの契約で、"損得勘定"も滲み出ていた。

 そこで久保本人がウナイ・エメリ監督に退団希望を明かし、移籍への流れは加速することになった。カップ戦を主戦場にリーグ戦での出場時間を増やす選択肢は悪くなかったはずだが、ボールプレーヤーとして貢献しても立場が変わらず、忸怩たる思いがあったのだろう。年始のレバンテ戦は初のメンバー外。本格的な移籍交渉に入ったことを示していた。

 久保自身が移籍を希望し、レンタル元のレアル・マドリードも出場機会の増加を歓迎。ビジャレアルはボランチのビセンテ・イボーラの負傷離脱で、補強の必要が出ていた(フランス代表MFエティエンヌ・カプエをワトフォードから獲得)。あとは久保を熱望するヘタフェが、250万ユーロ(約3億円)というレンタル料の半分を肩代わりできるか、だけが焦点になっていた。

 結局、レンタル料については折半することで合意。言わば、必然の移籍と言える。