モウリーニョの必勝パターンを分析。トッテナムは優勝のチャンスあり (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 強豪を相手にも僅差勝負にできたのは、ただ守っているだけではなく、ボールポゼッションで相手の攻撃時間を削り取っていたからなのだ。以前はバルセロナ(スペイン)のコーチだったのだから、ポゼッション重視は不思議ではないのだが、それを少し違う用途で活用していたのがモウリーニョらしさだろう。

 モウリーニョが率いたチームは圧倒的な戦績を残すことはあっても、圧倒的に勝利するという幻想を持たない。丁寧に相手の長所を消し、弱点を突く。

 華々しい戦績と目立ちすぎるパーソナリティーとは裏腹に、実に手堅く地味な勝ち方をするのが得意な監督と言える。

 必ず接戦に持ち込み、高い確率で勝つ。モウリーニョがイノベーターだったことはないが、名監督であるのは間違いない。

ジョゼ・モウリーニョ
Jose Mourinho/1963年1月26日生まれ。ポルトガル・セトゥーバル出身。スポルティングやポルト、バルセロナのアシスタントコーチののち、2000年にベンフィカから監督業をスタート。ポルトで2003-04シーズンにCLを制して注目され、以降、チェルシー(04-07、13-15)、インテル(08-10)、レアル・マドリード(10-13)、マンチェスター・U(16-18)とビッグクラブの監督を歴任し、数々のタイトルを獲得する。19年よりトッテナムの監督を務めている。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る