2020.12.03

モウリーニョの必勝パターンを分析。トッテナムは優勝のチャンスあり

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

サッカー名将列伝
第25回 ジョゼ・モウリーニョ

革新的な戦術や魅力的なサッカー、無類の勝負強さで、見る者を熱くさせてきた、サッカー界の名将の仕事を紹介する。今回は現在トッテナムの監督を務めているジョゼ・モウリーニョ。これまで数々のビッグクラブの監督を務め、タイトルを獲得。今季のトッテナムも好調だ。無類の勝負強さを発揮してきた、その手法に迫る。

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<対戦相手を分析し、的確に弱点を突く>

 プレミアリーグ第9節、トッテナム対マンチェスター・シティは、ジョゼ・モウリーニョとジョゼップ・グアルディオラの因縁の監督対決でもあった。

好調トッテナムを率いる、ジョゼ・モウリーニョ監督好調トッテナムを率いる、ジョゼ・モウリーニョ監督  結果は2-0でスパーズ(トッテナムの愛称)の勝利。ボールを支配したのはシティだったが、「そんなにボールが好きなら家に持って帰ればいい。私は勝ち点3を持ち帰る」と、モウリーニョ監督は彼らしいコメントを残した。

 シティは左サイドバック(SB)のジョアン・カンセロが、攻撃時にはボランチとしてプレーする。グアルディオラ監督らしいポジション変化なのだが、モウリーニョ監督は着実にそこを突いてきた。

 守備では最終的にカンセロが左SBに戻る。この3バックから4バックへの移行時、やや不安定になる。そこでいつもは左サイドにいるソン・フンミンを右サイドに置き、カンセロとセンターバック(CB)の間を狙わせた。

 先制点はカンセロの横をすり抜けたソンに、タンギ・エンドンベレからの浮き球のパスがピタリ。抜け出したソンがゴールしている。シティは4人のラインを揃えることができず、ソンはオンサイドのまま裏へ走り抜けていた。

 ハリー・ケインが偽9番的に下りる。エンドンベレにはマークを外すドリブルがある。3バックの手前でタメをつくり、その間にソンがカンセロの戻り切れないスペースを狙うという作戦だった。

 対戦相手を分析し、的確に弱点を突いていく。モウリーニョ監督らしい采配と言える。ただ、スパーズに来てからのモウリーニョは以前と比べると丸くなった印象がある。温和なモウリーニョではモウリーニョらしくない気もするが、齢をとったというより時代に合わせて変化したのだろう。