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たぶんメッシよりすごかった。マラドーナにあった猛烈なエネルギー (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 マラドーナがナポリでセリエAを制する模様は、日本でテレビ放送されなかった。欧州クラブサッカーはその時まだ、遠い存在にあった。筆者が欧州に足を運び始めたのも90年イタリアW杯以降になる。ナポリ時代、あるいはその前のバルセロナ時代の活躍は、欧州在住のカメラマンから送られてくる写真を通して知ることになった。欧州から届く写真を心待ちにしたものである。ルーペで拡大されたスライド写真をビューワーに翳しながら、ワクワクしながら目を凝らしたものだ。

 結局、実際にこの目で見ることができたのは、先述のワールドユース大会と、1982年から94年までのW杯4大会における、アルゼンチン代表としてのマラドーナだけだった。トータルでおそらく20試合に達したかどうかだ。マラドーナは、彼と同世代の筆者にとっても遠い、伝説的であり神秘的な存在だった。

 日本代表がW杯に初出場したのは1998年フランス大会なので、マラドーナは、日本サッカーの興隆と反比例するように、表舞台から消えていったことになる。マラドーナを知る世代はせいぜい50歳以上の人だろう。

 それ以下の世代の人に伝えるならば、たぶんメッシよりすごかった。猛烈なエネルギーを備えていた。その生もうまれ変わりが、出現することに期待したい。

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