「メッシの敵」は退きユーベに勝利。それでもバルサに残る火種とは
10月28日、チャンピオンズリーグのグループリーグ第2節。バルセロナはユベントスを0-2と敵地で下し、怪気炎を上げている。
「雄大なるバルサの勝利」
スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、そう派手に見出しを打った。ユベントスはエースであるクリスティアーノ・ロナウドが新型コロナウィルスで陽性になるなど、欠場選手も少なくない状況ではあったが、イタリア王者を撃破したことを大いに祝した。
とりわけ、17歳のペドリのプレーは、欧州にとどろくセンセーションだった。左サイドから何の衒(てら)いもなく何度もエリア内まで侵入。ボールプレーの技術の高さは、バルサの"希望"と言える。
「(バルサには)こうした大事な試合を戦うのに慣れている選手がたくさんいた。我々がバルサと互角に戦うには、まだまだ改善しなければならない点がある」(ユベントスのアンドレア・ピルロ監督)
その言葉は、バルサの圧勝を印象づけた。
アウェーのユベントス戦に勝利し、ホッとした表情のリオネル・メッシ(バルセロナ) だが、試合前日にはリオネル・メッシとの確執が注目されてきたジョゼップ・マリア・バルトメウ会長はじめ、クラブ幹部が辞任することを発表。クラブはとても安定した状態にあるとは言えない。ロナルド・クーマン監督が率いるバルサは盤石なのか?
今シーズン、クーマン監督は4-2-3-1を導入し、守備からの立て直しを図っている。昨シーズン、最後の試合でバイエルンに2-8と大敗した悪夢を払拭するため、バルサ伝統の4-3-3を捨てることを決意。ダブルボランチにすることで、攻守を安定させる狙いだ。
乱れた守備の組織を整えるため、ダブルボランチはひとつの処方箋と言える。しっかりと中を閉じ、ライン間で挟み込んで相手を殲滅。釣瓶のようにどちらかがカバーに入り、左右のサイドの分担も明確になる。
バルサの始祖とも言えるヨハン・クライフも、実は最後のシーズンにはダブルボランチを用いていた。大量失点が相次ぎ、守備の再建が急務だった。また、フランク・ライカールトも就任当初は、ダブルボランチを使っていた。前のシーズンにチームが中位に低迷し、守備を組み直す必要があった。
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