バイエルンを欧州の頂点に導いた新名将フリック。新機軸戦法の正体 (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 つまり、中央エリアは攻撃ではまったく使わないぐらい無視しているが、守備では最重要エリアになっている。ゴール前でクロスに飛び込んでいく屈強な3人は、守備でもそのパワーを活用する。

 バイエルンの戦術の根底には合理性と用心深さがある。ある意味、弱者の発想なのだが、それをあのレベルで極めると、とんでもない強者になりうるわけだ。まあ、これはこじつけにすぎないが、暫定監督から名監督のひとりに飛躍したフリック監督とどこか重なる気もする。

ハンス=ディーター・フリック
Hans-Dieter Flick/1965年2月24日生まれ。ドイツのハイデルベルク出身。選手時代はバイエルンやケルンでプレーしたあと、地元のヴィクトリア・バンメンタールで選手兼監督として、指導者をスタート。3部時代のホッフェンハイムも率いた。その後レッドブル・ザルツブルクで1年、ドイツ代表で8年アシストタントコーチを務め、14年からはドイツサッカー連盟のスポーツディレクターに就任。19年バイエルンのアシスタントコーチで現場復帰すると、11月からは監督としてチームを率いることになり、チームを今季三冠に導いた

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