2020.08.25

全世界注目のメッシの去就。
残るも地獄、去るも地獄で移籍の可能性も

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

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「レオ(リオネル・メッシ)はまず、バルサとの契約があるからね。移籍についてはわからないよ」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』のインタビューで、元バルサのデコはそう答えている。現役時代、デコはリオネル・メッシとチームメイトで、ともに栄光を勝ち取った。

「レオは勝つ意欲が非常に強い選手で、チームが競争力のある組織を作れるかどうか(が選択の分かれ目)だろう。(残留か移籍か)決断するのは難しい。なぜなら彼は3、4年、バルサにいただけの選手ではない。クラブの歴史に残る世界最高の選手で、家族ごとバルセロナという街と密接に結びついている。レオのいないバルサは、想像できない。ただ、今の状況だとあり得ることだ」

 デコの証言は、バルサとメッシの現状を象徴的に説明している。今まで、英雄メッシなしのバルサはあり得なかった。しかし、状況は切迫しているのだ。

 メッシにとって、「残るも地獄、去るも地獄」という事態になりつつある。

去就が注目されているリオネル・メッシ(バルセロナ) そもそも、メッシの移籍は現実的なのか。現時点での答えはノーだ。設定された移籍違約金は7億ユーロ(約840億円)。常軌を逸した金額である。

「メッシは新しいプロジェクトの中心」

 新たにバルサの監督に就任したロナルド・クーマンも明言しているだけに、たとえメッシ本人が移籍を希望しても、実現は難しい状況だ。

 ただし、不穏な事態であるのは間違いない。

「バルサでの将来が明確に見えない。今はクラブ内より、クラブの外から見ている感じだ。もちろん、契約上の問題があることは承知しているが......」

 クーマンとのミーティングで、メッシがそう伝えたことが報じられている。これほど重要なメッセージが、どうして外部に流れたのか。「メッシの移籍はない話ではない」という状況が明確化された形だ。

 メッシがクラブに対して不信感を抱いているのは間違いない。

 フロントはストライカーひとりも満足に補強できず、ここ数年で明らかにチームを弱体化させてきた。先日のチャンピオンズリーグ(CL)、バイエルン戦の2-8という大敗は衝撃的だった。さらに今季は、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長の陣営が、PR会社に資金を流し、SNSでメッシ、ジェラール・ピケなどへのネガティブキャンペーンをしていた疑惑も生じた。