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岡崎慎司が語る今季。「2部」を受け入れ戦う覚悟ができた瞬間がある (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 岡崎は第6節から12試合連続で先発し、ほぼフル出場した。そしてその間チームは6勝2分4敗と勝ち越していた。ただ、岡崎は3得点にとどまり、期待に応える活躍とまではいかなかった。

「なにがいちばん大変だったかというと、"2部でプレーすること"を受け入れるのに時間がかかった点ですね。初めての2部で、ここで這い上がって1部に挑戦するための切符を掴み取るのはかっこいいと思ったし、キャリアの最後に崖っぷちから這い上がっていく姿を見せたいと思った。それは言葉にすればかっこいいんですよね。でも実際にそれを本当に受け入れてプレーするのには時間が必要でした」

 言葉ではそう自分に言い聞かせ、頭では覚悟が決まっていると思っていた。けれどここまで積み上げてきた選手としてのプライドが、本能的に抗っていたのかもしれない。本当の意味で吹っ切ることができたのは、ほんの些細な出来事だったという。

「第18節のアルコルコン戦から3試合連続でベンチスタートになりました。それで多分、ベンチでボーッとしていたんでしょうね。ある試合で監督から途中交代で急に呼ばれて、すぐに着替えて試合に出ようと思ったらベンチにいるチームメイトが俺のこと見て笑っているんですよ。『お前、それで出るつもりかよ』って。

 それで自分がレガースを忘れているのに気がついて『しまったー!』って、慌てて取りにいって、そのせいで交代が5分くらい遅れちゃって。もう自分でも笑ってしまうようなミスからそのまま慌てるように試合に入っていったんです。その時になんか自分の中で『もう2部だから』とか、そういうのを考えるのやめようと、自然と思えたんですよね」

 その小さな事件をきっかけに岡崎はようやく地に足をつけて、今いる場所を現実のものとして捉えることができるようになっていた。

「それがあって次の日からチームメイトとくだらないことで笑いあったり、練習でどんどん声を出して盛り上げたりできるようになったんですよ。それでもう2部とかそういうのは頭から捨てなきゃいけない。それは今の自分には邪魔でしかないなって。

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