フランス式おもてなしに感心。ユーロ2016で生まれた傑作スタジアム (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 ボルドーの新スタジアムの設計者はヘルツォーク&ドゥ・ムーロン。競技場部門では、バーゼルのスタジアムを皮切りに、ミュンヘンのアリアンツ・アレーナ、北京五輪のメイン会場となった「鳥の巣」を設計したバーゼル出身の2人組ユニットといえば、スタジアム好きには知られた名前だ。

 パルテノン神殿のイメージにより近いのは、ボルドーのほうだ。スタジアムへの入場の仕方とそれは大きな関係がある。パルテノン神殿はアクロポリスという小高い丘の上に建立されている。観光客は丘を登りながら神殿に近づいていくわけだが、このイメージがボルドーの新スタジアムにも適用されているのだ。観客は丘を登るような感覚で円柱形のポールが林立する神殿(スタジアム)の中に入場していく。ワクワク感を高揚させながら。

 スタンド下のコンコースも魅惑的なスペースだ。スタンドの段々が剥き出しになっている天井部と、それを脇から支える、無数の円柱状のポールが描き出す陰影が、デザイン性の高い独特の雰囲気を醸し出している。色はすべて白。だが影の部分が黒くなるので、白黒のコントラストが効いた、どこかケミカルでスペーシーなビジュアルになっている。

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