フランス式おもてなしに感心。ユーロ2016で生まれた傑作スタジアム (6ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 トラムは線路上で何台も詰まっていた。まさに渋滞を起こしていた。半分諦めながら、ボルドー・サンジャン駅に到着すれば、なんとパリ行きのTGVはホームでしっかりと待っていた。後に聞けば、筆者より後ろのトラムに乗った人も、無事にパリまで戻ることができたという。

 積み残しはゼロだった。フランス国鉄は98年フランスW杯でもこの精神で臨んでいた。各試合後、すべての開催都市からパリに戻る列車が用意されていて、積み残しがないように、臨時便を可能な限り増発していた。2018年ロシアW杯しかり。しかもロシアの場合は無料。どんなに距離が長くても。公共交通機関は無料だった。

 話を戻せば、ボルドーの新スタジアム、現在名スタッド・マトミュット・アトランティックは、スタジアム専用サイト「StadiumDB.com」が主催する2015年に完成したスタジアムの優劣を競う投票で、審査委員部門1位に輝いている(同年に完成した吹田スタジアムは10位だった)。収容人員42052人という小ぶりなスタジアムながら、さっそくUEFAから最高位を意味する4つ星スタジアムの称号が与えられている。

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